大滝 一
最近はあまり見かけませんが、野良猫というと目ヤニたっぷり、耳介は一部ちぎれていて、毛はバサバサ、といった汚い印象があるかもしれません。しかし、猫は本質的に極めて綺麗好きです。
我が家では、以前、ニャンたちにリードを付けて庭に出したりしていましたが、ダニに食いつかれたり、ノミが付いたりしたため室内飼いとしました。外に出すといろいろな病原体の標的になるようです。特にあまり活発でないゆん君は、草むらでじーっとしているのでよく虫が付きました。
そして室内飼い12年、驚くことに全くトイレに関する粗相をしたことがないのです。多いときで6匹です。凄いことです。人間でもこうはいきません。ゆん君は亡くなる前日まで、よろよろしながらも自分でトイレに行き用を足していました。「なんとしてでもトイレは最後まで自分で行く、迷惑はかけられない」という姿に感動で涙が出ました。
そしてこいつらは、ニャン生の中で一度も入浴することがないと思いますが、臭くないのです。ときに口臭がすることもありますが、それほどきつくありません。そして、室内飼いしていれば毛も汚れずさわり心地も大層よろしいのです。
その理由は毛づくろいです。猫はぺろぺろ本当によく毛づくろいをしています。猫の行動パターンは、寝ているか、毛づくろいしているか、食べているかです。8割がたは寝ているようですが、次に目にするのが毛づくろいです。はしゃいでいる時間などはほんのわずかです。
ただ一ついやみなのは、私が背中や手足に触ると、まるで汚いものが触れたかのように、その場所をこれでもかというほど一所懸命になめるのです。私の手はそれほど汚れてはいません。この点については、ニャンたちにしっかり認識していただきますようお願い申し上げます。私の手は不潔ではないのだ、分かったかニャンたち!でも無理かなあ、それを理解するにはいささか脳がちんこいもんなあ。
(令和2年10月号)