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新潟市医師会報より

新潟市医師会

生きものがたり(2)

阿部 志郎

“猫の心もようは、我々の繊細な気持ちにも似てこまやかである”

勤務医だった頃、病院の検査技師より生後まもない虎猫をもらった。

白とオレンジ色の縞模様で尻尾が長くピンと立った子猫だった。

新婚だったので、我が子のようにダンボール箱で住家を作り飼いはじめた。

2階を居間にしていたので、小さい体でやっと階段を登ってきていたが、数か月で我々より素速く駆けあがる運動能力を身につけた。

妻が下の台所で天麩羅を揚げていると、うしろの食卓テーブルから肩に飛び乗り身を乗り出して現場を覗き込む光景をよくみかけた。

夏でもあり、妻のノースリーブの肩にはたくさんの掻き傷ができていた。

天麩羅を揚げる音にひかれ、肩から眺める小猫の姿に好奇心の強さを感じた。

ミャーミャーと鳴くので“ミータン”の愛称でよぶことにした。

半年後に移った病院の宿舎は、木造2階の日本家屋で6畳の部屋もあり広かった。

トイレの躾も終り、猫が自由奔放な行動を発揮するに充分なスペースであった。

①テレビを見ていたら、画面でドアから猫がゾロゾロと出てくるコマーシャルがあった。

それを脇で見ていたミータンは、画像が終了したら不思議そうにテレビの裏側へ回った。

②炬燵に入りながらお菓子の包み紙を丸めて、遠くにあるごみ箱に投げ入れていた。

それを見たミータンは、前足の肉球で投げた紙包みをごみ箱の近くでポンと受けた。

さらに、私が紙を丸め始めるとごみ箱近くに待機し待ち受けるようになった。

落した紙包みを獲物とみて、前足で横に弾き腰を振って襲いかかる練習をした。野生本能?

③静かな夜に畳の上で妻と向きあってオセロゲームをしていたら、物静かに寄ってきたミータンが盤面をゆっくりと横切った。“私がいるのを忘れないでね”と言わんばかりに…

④炬燵にいるとミータンが退屈そうにワンガラガーと鳴きながら寄ってきた。膝の掛け布団にゴロリと横になり、頭を撫ると喉を鳴らし前足の肉球を舐めてチュッチュ、チュッチュッと悦になり、ミータン、ミータンと呼びかけると更に激しくなった。やがてウ~ンと唸り、口に寄せた前足を退けると小さいピンクの舌をチョロリと出して眠っていた。

⑤廊下へ曲がる角の畳を歩いていると、突然ミータンが物陰から足首に絡みついた。

野生本能で狩りの練習をしているのだろうが…なにかカラカワレテいるようで面白い。

⑥高速道路を時速100キロで走行中、籠の中からミータンが怯えたように唸りだした。

高速移動を肌で感じるのだろうか? 人間の感覚を超えた野生の一面をみたようだった。

⑦急用でミータンの面倒がみれず、動物病院に1夜の宿泊をお願いした。

翌日ミータンを迎えにいったら檻の中にいた。たった1日の宿泊なのに猫(人)が変わったように容貌が無表情となりイライラした態度になっていた。獣医は食物を与えても食べず水も飲まず…興奮して凶暴なんですよと言う。“事務的で愛情のない扱いをするからだろう”と思ったが、心にとどめた。見捨てられたと“怒り心頭”の厳しい態度を取り“断食”を数日間続けた。猫といえども…人間らしい感情爆発・報復態度には驚いた。

⑧お天気のよい日だった。雨戸を少し開けて、外の空気と入れ替えをしていた。

窓際の小さな棚に座り、隙間からミータンは長い尻尾を外に向けてプラプラと振っている。

やがてチィチィチィと小鳥の鳴声がしたので見ると…ミータンが雀を口に銜えていた。

おそらく、尻尾を窓の外でプラプラさせ窓辺に雀の気を引いて前足で捕縛したらしい。

作戦通りに獲物を仕留めたので、ぜひ褒めてほしいとの態度である。

再度、誇らしげに獲物を見せにきたのだから…

⑨一年後、転勤した病院の宿舎はアパートの1階で窓から駐車場の車がよく見える。

家を留守にして車で買物から帰った。するとエンジン音で我々の帰宅を察知したらしく、窓際のカーテンを前足で払い除けこちらを見ている留守番ミータンの姿を見つけた。

すぐにその姿は消え、玄関のドアを開けるとミータンがちょこんと座って待っていた。

賢い猫だ…もう気心も知れた家族の一員だなと思いつつ優しく抱き上げた。

“優しくすれば、優しくなれる。だって、みんな気持ちをもった、生きものだもの”

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