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新潟市医師会報より

新潟市医師会

脳血管性認知症の今昔

今野 公和

私も76歳、時々精神的にも、身体的にも「老い」を感じます。…折しも日本人の平均寿命:女87.26歳、男81.09歳と発表されました。いくら平均寿命が延びても、結局寿命はあるのだ。最後まで、生き生き脳でいきたいものだが…。7年後には、65歳以上の老人の5人に一人が認知症という時代、80歳以上はもっと多いでしょう。もしかして、認知症は老化現象なのではありませんか?

よく患者さんに、「アルツハイマーと認知症は同じですか?」と聞かれます。

「いいえ、認知症には主なものが4種類あり、その他いろいろあります」と答えます。

中でも、①アルツハイマー型認知症が一番多くて約半分(50%)、ついで②幻視やパーキンソン症候群で有名なレビー小体型認知症が約20%、③脳血管性認知症が約20%、残りの10%に④前頭側頭型認知症やその他慢性硬膜下血腫、脳挫傷、脳腫瘍、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症などが含まれます。

そんなにあるのに、どうしてアルツハイマー型認知症が有名なのですか?

平成12年頃、アリセプト(一般名ドネペジル)がアルツハイマー型認知症の治療薬(根本治療薬ではないが)として健康保険で認められたこと、長谷川式認知機能テストやその他立法体模写、三宅式などの診断ツールが発達したこと、頭部MRI(coronal)で海馬萎縮が容易にわかること、介護保険制度が発足し、認知症患者へのケアーが充実してきたことなどで、爆発的にアルツハイマー型認知症が診断されるようになりました。アルツハイマー型認知症①、レビー小体型認知症②、いずれも病理解剖で、老人斑やレビー小体(小阪憲司教授が発見)が特徴の病気で、徐々に進行する変性疾患です。

では、脳血管性認知症③はなんですか、今日はそれについて述べてみましょう。

昔、といっても平成5年頃脳ドック学会が発足、認知症をまだ痴呆といった頃は、ほとんどが脳卒中後の高次脳機能障害を脳血管性痴呆と呼んでいました。視床痴呆(thalamic dementia)などのように、中等度以上の血管の梗塞や出血によるものです。そこで私は、未破裂脳動脈瘤の発見がメインの脳ドックで、脳卒中の危険因子である3大生活習慣病や喫煙、肥満などが脳血管性痴呆の危険因子でもあるわけで、長谷川式などの痴呆の診断ツールで脳血管性痴呆を早期発見することにつとめました。

ところが、アルツハイマー型認知症の治療薬としてアリセプトの発売と、平成12年から介護保険サービスが発達し、痴呆も認知症と言い換え(平成14年)るようになると、脳卒中後の脳血管性認知症は全体の割合から減少していきます。しかし、認知症の定義を見直しますと、「認知症とは、いったん正常に発達した知的機能が持続的に低下し、社会生活に支障を来す状態」ということで、最初に高次脳機能障害が起こるものとちょっと違う。すなわち、変性疾患のように徐々に進行する病気が認知症です。その定義に則った真の脳血管性認知症は、徐々に進行する白質の病変(ビンスワンガー)と、細小血管の閉塞(ラクネ)や出血(アミロイド アンギオパチー)が次々と多発性に段階的に起こるものから成立します(図1)。これらも、small vessel diseaseというように、小さな脳卒中ですから、3大生活習慣病は危険因子です。

アルツハイマー型認知症も、高血圧症や糖尿病が危険因子であるというエビデンスがあり、また脳血管性認知症にアルツハイマー型認知症が合併しやすいあるいは移行しやすいのも事実です。

この両者の基礎にあるのは、small vessel diseaseなのではないか。動脈硬化は誰にもおきます。そうすると、やはり、認知症は老化現象なのではないか、なかなか根本治療薬がないのもそのためでないのか、iPS細胞も夢に終わるのでないか。夏の夜。なかなか眠れません。

追伸 興味ある先生方は、平成30年12月6日(木)新潟市脳神経外科医会学術講演会(新潟市医師会共催)の冨本秀和先生(三重大教授)の講演にいらしてください。

(平成30年9月号)

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