丹羽 恵子
咳をしている医療事務がいました。数日でよくなりましたが、再び咳が悪化して発熱、金曜日にインフルエンザA型が判明しました。咳が悪化してから発熱まで3日間でした。その後土曜日に看護師が、日曜日には医療事務がインフルエンザA型となりました。
当院は看護師3名、医療事務3名のクリニックです。幸いなことに、私を含め他の3名は元気いっぱいでした。当院初の「小さなBCP」発動です。
お盆直前の忙しくなる1週間でした。少ないスタッフで対応できるように緊急性のない胃カメラ検査や腹部エコー検査は、スタッフが復帰できる日に延期をしました。月始めでレセプト業務と重なりましたが、スタッフがお互いに協力し合い、無事に診療することが出来ました。数日でしたが、当院にとってBCPを考えるよい機会となりました。
BCP(事業継続計画)は有事の際も業務を中断しないために、万が一中断した場合でも、出来るだけ早期に重要機能を再開させるための仕組みであり、平時から準備しておくことが求められています。2024年4月からすべての介護事業所でBCP策定が義務化され、さらに2026年(令和8年度)の診療報酬改定により機能強化加算の届出医療機関と在宅療養支援診療所(在支診)にBCP策定が義務化されました。既存の届出医療機関には令和9年5月31日までの猶予期間が設けられていますが、今後一般の診療所にも策定が義務化される可能性があります。当院は在支診ではないので策定の義務はありませんが、昨今の想定を超える災害に対し医療を維持するためBCP策定が必要と思いながら、いろいろ言い訳にしてBCP策定のテンプレートをダウンロードするだけに止まっていました。
2026年7月そんな私に、在宅ケアクリニック川岸町の塚田裕子先生が声をかけてくださいました。「当院でBCP策定しているよ」。よい機会とお願いして、さっそく当院の看護師と共にクリニックへ伺い、担当の看護師さんから丁寧に策定方法を説明していただきました。孤独に厚生労働省のBCP策定の手引きを参考にしながら、テンプレートを埋めようとしても、なかなか作業は進みませんでしたが、具体的に説明を受けると何だが出来そうな気がします。その後一緒に話を聞いてくれた看護師が、周りのスタッフを巻き込んで率先してBCP策定を進めています。所どころ私がチェックする必要があるのですが、残念ながらそれは手付かずです。
新潟市医師会は今後、有事における医療とケアの継続と早期復旧のために「地域におけるBCP」を目指します。BCPに関する研修会の予定もありますので、ぜひ参考にしていただき、スタッフと一緒に話し合う機会にしていただければ幸いです。
〈参考資料〉
令和6年度在宅医療の災害時における医療提供体制強化支援事業|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_51491.html
無床診療所A・Bコース
資料1 在宅医療を提供する診療所編BCP策定の手引き
https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/001410547.pdf
資料2 在宅医療を提供する診療所BCP策定テンプレート
https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/001410548.xlsx
(令和8年9月号)