新潟市医師会報より

五合庵

勝井　豊

昭和60年に中央区関屋松波町の借家に入居したときに、大家さんから「お蕎麦を頼むなら、このお店がよいですよ」と教えてもらったのが、このお店である。昭和53年に開店しており、店主の出身地が国上山の近くなので、「五合庵」と名付けたそうで、店内には良寛さんに関連のある絵が数点飾ってある。

ご主人と奥さんとで経営しているので、こじんまりとした印象をうけるが、蕎麦のほかに、うどんや丼物定食もあり、品数は豊富で値段も手頃で、ボリュームもたっぷりなのが、魅力である。天ぷら蕎麦や、なめこ蕎麦、鍋焼きうどんなどを、好んで注文しているが、あっさりとした上品な味付けで、汁まで全部飲んでいる。しかも健康増進サポート店に指定されており、カロリーや塩分についても配慮されているので、安心して利用している。

平成2年に借家があったのと同じ町内で医院を開業してからは、1泊2日で手術をすることもあり、そのときは患者さんの昼食として、出前を頼めるので重宝してきた。自宅兼医院からお店まで歩いて10分足らずなので、出前を頼むといつも熱々のうどんや蕎麦が届けられている。最近は日帰り手術しか行わなくなったので、出前を注文することも少なくなってしまったが、30年間にわたって親しんできたお店である。

近年は市街地のドーナツ化現象のために、閑静な住宅地にある当院の周辺も高齢者のみの世帯や空家が増えている。長年に亘る営業をやめて閉店してしまう店も多くて寂しい感じがするが、このお店は1日も長く営業を続けて欲しいと願っている。

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