細野 浩之
良寛様が最盛期を過ごした草庵「五合庵」がある国上寺のふもとの山奥に、ひっそりと「宏智庵 日月カフェ」は佇んでいます。元々はオーナーのお父様が日々の暮らしから離れ、別世界を味わえる空間に客人を招くために作られた庵です。その庵を日曜日と月曜日のみ開放して、カフェとしてわたしたちをもてなしてくれます。
オーナーのお父様が、昭和51年に、江戸時代享保年間に作られた茅葺き屋根の母屋を購入され、10年かけて解体改築され、茶室を作られ、新たに客室を増築された建物には、随所に遊び心とおもてなしの精神がみられます。素敵な日本庭園の茶庭から中門を通って、腰掛待合への外の空間は周囲の自然に溶け込んでいます。茶室も天井や床の間は質素で寂を感じさせる作りです。立礼式の茶室も、屋根裏が傘を下から見上げたような垂木になっています。茶室以外の客室も人をもてなすために作られた空間で、床の間や廊下の壁柱などは京都まで材木を見に行かれたとのこと。母屋は江戸時代に作られた材木をそのまま使用した天井の高い部屋で、縁側廊下がとてもゆったりと作られ、建物好き人間が見ていてとても楽しい作りです。本席では、お茶は飲めませんが、見せていただけます。お茶を全く知らない人間にとっても、とても静かでゆったりとした豊かな時間を過ごせる空間は格別です。
4月になり、まだ庭にはところどころ雪が残って、山野草が咲き始めたころに、このカフェは冬の眠りから覚めてオープンします。春は庭の木々が一斉に緑の色を新緑から深緑に変えていく中で、さわやかな気分で抹茶と和菓子をいただき。夏は蚊取り線香の香りと、セミの鳴き声の中でゆったり冷たい抹茶を飲み。秋は徐々に庭の木々が紅葉し黄色や赤に染まっていく中で、のんびり温かいコーヒーを飲み、スイーツをいただく。木々の紅葉がすべて落ち葉になる11月でこのカフェも長い冬の眠りにつきます。
水、木、土曜日はオーナーのお嬢様が「みどりとごはん」と店名を変え、完全予約制でワンプレートごはんのランチ営業のみも行っています。このごはんもみどり(野菜)も、おいしくとても魅力的です。
さて、今年は4月7日よりオープンの予定。春が待ち遠しくてたまりません。
宏智庵 日月カフェ
住所 | 新潟県燕市国上2824 | |
---|---|---|
TEL | 080-6544-0740 | |
nichigetsucafe | ||
営業時間 | 10:00~16:00 日曜日 月曜日のみ 冬季休業あり12月~3月 お席のご予約は受け付けておりません |
みどりとごはん(日月カフェ内)
営業時間 | 11:00~14:00 水 木 土曜日 前日までの予約のみです |
---|---|
TEL | 050-3552-2320 |
midorito_gohan |