日本歯科大学医科病院 院長 大越 章吾
当院のある中央区浜浦町界隈は古い住宅地であり、重厚な日本歯科大学の外観にはツタの葉がびっしりと覆い季節ごとの情景を与え、落ち着いた雰囲気をかもし出しております。付近には大学病院、がんセンター、済生会、医療センター、南などの病院がありますが、当院は例えれば“Niche”のように存在しています。内科、外科、耳鼻咽喉科しかない中小病院ですが、ゆったりした空気が流れており、それが当院の良さだろうと思っております。ここは紹介状がないと受診できないというような高度医療機関ではなく、“大学の病院”ですので、言ってみれば一般中小病院であります。
私が当院に来てよかったと思う点は、ここが大学であり研究機関であるということです。医局の隣は研究室、実験室があり、時間と興味があれば研究をすることができます。事実私の下には歯科からの大学院生がおり実験をしております。歯科に絡んだ適切なテーマを見つけるのが一苦労ですが、時に自分で久しぶりにピペットを握ることもあり、それなりに楽しんでおります。また、歯科には睡眠時無呼吸(SAS)外来があり、多くの患者が持続陽圧呼吸(CPAP)治療との絡みで内科を併診しています。SASはメタボリック症候群と密接な関係があり、内科疾患との絡みで研究が行えます。実際、今年は廣野准教授がSASと脂肪肝の関係の仕事で科研費基盤Cを獲得し、臨床研究を行っています。
しかしながら、病院長としての悩みは、何処も同じ病院経営であります。医療競争の中でどのように患者数を確保し、病床稼働率を維持していくかということになります。まず病院職員にも、積極的に情報を伝えコミュニケーションをとるように心がけ、全体がよい病院を作るような意識を共有できることが望ましいと考えています。
昨年より当院が主催する地域医療連携の“はまうら会”を立ち上げ、この11月に第3回を数えます。これまで近隣の地域の先生方より多くご参加いただいており心強い限りです。内容につきましてはなるべく開業医の先生方のニーズに答えるようなものにしていきたいと考えています。
当院の最大の特色は歯科大に附属した病院であるということです。歯科には多数の患者を抱える睡眠時無呼吸外来があり、そのほかにも口の渇き外来、口臭外来など歯科ならでは特殊外来があり、内科疾患の患者が多く潜在しています。今後対応する症状の患者様がおられましたら、当院での受診をご配慮くだされば幸いです。
当院は、名前は大学病院ですが一般小規模病院ですので、紹介状がないと初診料を多く取られるということはありません。また人間ドックも昨年からリニューアルし好評ですが、まださほど待ち日数なく入れますので、ご利用をお待ちします。これには歯科や耳鼻咽喉科健診も含まれており、当院の特色を持たせております。また来年より最新式のデジタル3次元マンモグラフィーを導入し、乳がん検診も開始します。
今後地域包括ケアのシステムが整備され、各病院の役割分担が明確化していくと考えられます。今後の当院の立ち位置はどのようなものなのかはっきりさせることが望まれています。またそれを踏まえながらこの高齢者社会での医療に対応していくことが求められます。特に内科は消化器が専門ですが、これまで通り、高齢者の肺炎などにも対処しますし、大病院や療養型施設まで広く、後方受け入れ施設としての役割も積極的に果たしていこうと思っております。
今このように地域の病院として、消化器疾患のみならず、高齢社会のニーズに答えるような疾患にも対処して参りますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。