豊栄病院 院長
関 慶一
豊栄病院は1946年に開設された葛塚診療所を起源とし、今年で80年を迎えます。地域の変化とともに歩みながら、診療所から病院へ、そして地域密着型病院としてかかりつけ医機能を担いつつ一般診療及び入院機能を軸に、訪問看護・診療、健診事業、在宅医療へと機能を広げてきました。
本年は急性期病棟一つを地域包括医療病棟へ機能転換しました。従来の地域包括ケア病棟2つと障害者病棟1つと合わせて、これは「治す医療」だけでなく、「支える医療」「つなぐ医療」を重視し、高齢者救急や在宅復帰支援に力を注ぐという当院の意思表示でもあります。
当院がある新潟市北区は、新潟医療圏と新発田医療圏の境界に位置する人口約7万人の地域です。新潟市8区の中で2番目に広い面積を持ち、見渡す限りの田園風景が広がります。農業が盛んで産直市場には新鮮な野菜や果物が並び、トマトや南浜のスイカは地域自慢の味です。
また、日本海に面した松浜漁港、大河阿賀野川、そして福島潟など豊かな自然に恵まれています。神楽や祭りなどの伝統行事も盛んで、人と人とのつながりが今なお大切にされている地域です。医療もまた、こうした地域の支え合いの中で成り立っていることを日々実感しています。
一方で北区の高齢化率は30%を超えています。今後は人口減少が進む一方で、高齢者人口は大きく減らず、医療と介護の連携はますます重要になります。独居高齢者や高齢者のみの世帯も増え、高齢者施設も多く、当院に搬送される救急患者さんも高齢者が中心であり、治療だけでなく退院後の生活まで見据えた支援が求められています。
豊栄病院は北区のほぼ中央に位置し、バイパスと高速道路も近く、JR豊栄駅からは徒歩数分という便利な場所にあります。病床数は199床。地域包括医療病棟1病棟、地域包括ケア病棟2病棟、障害者病棟1病棟を有し、北区唯一の内科系地域密着型病院として地域医療を担っています。
高齢者救急や慢性疾患診療、健診・予防活動に加え、20を超える介護福祉施設の後方支援も行っています。外来患者数は1日平均約320名、入院患者数は約160名。12名(産育休1名)の内科医と外科、整形、麻酔科、放射線科、歯科、健診科の常勤診療科と、新潟大学や近隣医療機関から循環器内科と眼科、泌尿器、心療内科など応援をいただき、高齢者に多い複数の疾患や生活背景を踏まえた診療を心掛けています。
豊かな自然と温かな地域コミュニティに囲まれた北区で、私たちはこれからも「この地域で暮らし続けたい」という住民の願いに寄り添いながら、地域の皆さまとともに歩んでまいります。医師会の先生方をはじめ、多職種の皆さまのお力添えをいただきながら、地域包括ケアのさらなる充実に取り組んでいきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

(令和8年7月号)