新潟大学大学院医歯保健学研究科 腎泌尿器病態学分野 教授
大澤 崇宏
このたび、新潟市医師会報の巻頭言を執筆させていただく機会を賜り、心より御礼申し上げます。令和8年1月1日付で、新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学分野の第6代教授を拝命いたしました大澤崇宏と申します。本教室は、初代 楠隆光教授、第2代 高安久雄教授、第3代 佐藤昭太郎教授、第4代 高橋公太教授、そして前任の第5代 冨田善彦教授のもと、70年以上にわたり新潟の地で教育・診療・研究を積み重ねてまいりました。その歩みを受け継ぐ立場をお任せいただいたことに、身の引き締まる思いでおります。
私は北海道札幌市の出身で、2002年に北海道大学医学部を卒業後、手稲渓仁会病院での初期研修を経て北海道大学泌尿器科学講座に入局し、以後、北海道内の関連施設で診療と研究に従事してまいりました。医師を志した原点は祖父を膀胱癌で亡くした経験にあります。以来、泌尿器悪性腫瘍を自身の中心テーマとして歩んでまいりました。臨床面では、ロボット支援手術・腹腔鏡手術を中心とする低侵襲手術にこれまで500例を超えて携わるとともに、高難度症例や尿路再建手術を通じて開腹手術の技術継承にも力を注いでまいりました。研究面では米国ミシガン大学留学後に膀胱癌特異的QOL尺度「Bladder Cancer Index」日本語版の開発などに参画し、現在は日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)腎癌領域の研究事務局も担当しております。加えて、新潟における腎移植医療の体制強化にも貢献してまいりたいと考えております。
着任して何より強く感じておりますのは、新潟市医師会の先生方をはじめ、地域の医療者の皆様が日々築いてくださっている診療基盤の確かさです。泌尿器科診療は、検診・健診による早期発見から、手術・薬物療法、術後の長期フォロー、そして緩和ケアに至るまで、地域の先生方との密接な連携なくしては成り立ちません。前立腺癌や膀胱癌の早期発見、排尿障害や尿路感染症の長期管理、また高齢化が進む新潟においてますます重要となる腎機能障害や排尿ケアの課題など、いずれの場面においても、かかりつけ医の先生方と大学病院がそれぞれの強みを持ち寄り、互いの役割を補い合うことこそが、患者さんにとっての最善の医療につながるものと確信しております。
教室運営におきましては、「新潟の地で安心して泌尿器科医療を受けられる体制を、着実に育てていく」ことを基本に据え、次世代を担う人材育成、臨床現場の疑問を起点とした研究、関連施設との連携強化に取り組んでまいります。手術トレーニングや周術期カンファレンスを充実させ、「新潟大学で学べば一人前の泌尿器科医として自立できる」と実感できる教育環境を整えるとともに、女性医師のキャリア継続支援を含め、多様な背景を持つ人材が安心して働き、成長できる教室づくりも大切にしてまいります。新潟市医師会の先生方には、日常診療における紹介・逆紹介はもとより、勉強会・症例検討会などを通じて双方向の学びの機会を積み重ね、気兼ねなくご相談いただける窓口であり続けたいと考えております。
微力ではございますが、新潟という地域に敬意と愛着を持ち、先生方とともに、県民の皆様に信頼される泌尿器科医療の未来を築いてまいる所存です。今後とも、変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
(令和8年8月号)