新潟大学大学院医歯保健学研究科 呼吸循環外科学分野(第二外科) 教授
白石 修一
このたび、令和8年2月1日付で新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野(第二外科)の第5代教授を拝命いたしました。本教室は60年以上にわたり呼吸器外科・心臓血管外科を担ってきた、国内でも有数の伝統ある教室です。その歴史を継承する重責に、改めて身の引き締まる思いです。ここに謹んでご挨拶申し上げますとともに、自己紹介をさせていただきます。
私は埼玉県川口市に生まれ、愛媛県松山市で小・中・高校時代を過ごし、愛媛大学医学部に進学しました。テニス漬けの学生生活を送った後に平成10年に卒業、同大学での研修の後に、国内で最大規模のハイボリュームセンターである国立循環器病センター(現・国立循環器病研究センター)に平成13年から勤務し、小児心臓外科医として世界的に有名な八木原俊克部長のもと、一般的な手術から複雑心奇形、補助人工心臓、心臓移植まで幅広く学びました。その中で、当時なお救命が困難であった左心低形成症候群をはじめとする重症心奇形の治療成績をさらに向上させたいと強く思い、平成26年には福岡市立こども病院での修練の機会を得ました。当時、最高難度とされるノーウッド手術で卓越した成績を挙げておられた角秀秋部長から直接に手術をご指導いただき、その経験は後に新潟県初となる同手術の救命につながりました。
さらに平成30年にはJATSフェローシップ(日本胸部外科学会臨床留学助成制度)に選出され、ヨーロッパで有数の歴史と手術数を誇るドイツ心臓病センターミュンヘンに臨床留学しました。Lange教授、Ono教授をはじめとする世界的な心臓外科医から最先端の手術を学ぶとともに、ドイツの外科研修システムに触れた経験は、教室を主宰する立場となった今、改めて大きな財産であったと感じています。これら国内外での経験を生かし、帰局後は新潟大学の心臓外科医療の発展に取り組み、当院を北陸甲信越地方で最多の小児心臓手術数を担う施設へと成長させることができました。
研究では、国立循環器病センターにおいて、単心室に対するフォンタン手術の改良や同手術の遠隔期心機能・運動耐容能に関する研究を行い、国際学会で発表するとともに学位論文として纏めました。また、同センター研究所病理部において肺静脈狭窄症の病理組織学的研究、再生医療部においてヒト羊膜を用いた心臓手術代用素材の研究にも携わりました。近年は、理化学研究所大型放射光施設SPring-8を用いた多施設共同研究を進め、希少な複雑心奇形における刺激伝導系の非破壊的可視化に成功し報告を行っています。
外科医不足が叫ばれて久しく、新潟県における胸部外科を取り巻く環境も楽観できるものではありません。一方、土田前教授のリーダーシップのもと入局者はここ数年着実に増加しており、まだ十分な人数とは言えないものの教室には新たな活力が生まれています。私が目指すのは、若い人々が夢を持って集い、やり甲斐を感じながら修練を積み、自ら世界へ情報を発信し、それぞれの目指す世界や分野へ羽ばたいていける教室です。その実現に向け、今いる仲間たちと力を合わせ、臨床・研究・教育に真摯に取り組み、呼吸循環外科学分野、ひいては新潟県の医療の発展に寄与できるよう全力を尽くしてまいります。
新潟市医師会の皆様におかれましては、今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
(令和8年9月号)