岡田 雅美
昭和62年の卒業ですから、早いものでこの仕事も三十年以上、気がつけば結構いい年齢になってしまいました。
我々の世代は70年代に十代、80年代が二十代…ロックにニューシネマに深夜放送にミニシアターや様々なサブカルチャーがごちゃ混ぜで爆発的に暴走するまっただ中をリアルタイムで体験できた幸せな世代であります。
かく言うものの、入局から十年ほどはご同輩同様それなりに仕事人間だったりしまして、三十代の間は流行歌も趣味もなかなかご縁が無いまま過ごしました。
ところが四十代になってチョイと余裕が出てきたりすると、まぁウズウズと押さえ込まれていた虫が騒ぐのですね。暫く遠ざかっていたオートバイ趣味を復活して毎週山道を飛ばしてみたり、腹が出てきたのが気になると「運動と言えば自転車だろう!」などと言い訳しながらドロップハンドルを仕入れて汗だくで走り回ってみたり…そもそも自分で整備したりメンテナンスしたり弄る方が走る以上に楽しかったりするのできりがない。
一方、自宅の室内でもなにか出来無いものか…と欲が出てくると、学生時分からチョコっと弄っていたギターを久々に引っ張り出したりするわけです。学生寮で仲間を集めて大騒ぎした挙げ句、ご近所から通報されてお巡りさんに懇々とお説教された前科もあったりしまして…元々が好きなモンですから楽しいんですね、このギター抱えて歌ってる時間が。
さてさてご縁というのは不思議なもんで、五十代も半ばという時期に実に35年ぶりの高校の同窓会がありまして、その幹事グループとしてかつての悪ガキ仲間が再結集したり致します。昔の仲間との空間は実に居心地が良かったりしまして…みんな何となくそのまま解散するのが名残惜しくなっちゃった。で、その後も定期的にみんなで集まる口実として、なんとなく「バンドでもやろうぜ!」なんていう流れになるんですな、これが。
丁度、高校の同期で既に別のバンドを組んでいた連中が、毎年仲間内や家族だけ集めてライブ(と言う名の学芸会ですね)をやらかしたりしておりまして、我々もちゃっかりそこへ混ぜて貰ったりして、ドサクサに紛れて目出度くバンド活動開始!と相成る訳です。
とは言うものの、五人編成のメンバーの半分は全く楽器なんか触ったことの無いような初心者だったりしますし、そもそも全員が孫のひとりも居るような年齢ですから、一曲まともにやれるようになるにもそりゃあもう手間も時間も大変な訳です。ま、そもそもが集まってワイワイやる口実が欲しいだけですから、仕上がりは二の次だったりしまして…。
てな訳で、時々は大喧嘩なんかもしながら、いつのまにやらかれこれ四年ほど、毎月のように集合してはガチャガチャやっております次第。
さて、みなさんもひとつ、お仲間うちでバンドごっこなんぞ如何?
(令和元年8月号)