宮島 武文
私が料理に興味を持ち始めたのは、ステイホームが言われるようになった頃の、「BENTO EXPO」というNHKのテレビ番組でした。国際放送で人気の番組が、昼の地上波でも放送されるようになり、何気なく見ていたのです。いろんな国のキャラ弁が紹介されてるのですが、その中で実際に料理をするコーナーがあるのです。それを見てますと何か簡単そうで、自分もできそうな気にさせてくれるんですよ。
それで、ある日妻に弟子入りを決意しまして、台所での研修を開始いたしました。野菜を切るところからはじまり、調味料の調合などご指導いただきました。そのうち、フライパンもやらせてもらうようになり、生姜焼きなど焼くようになりました。当初はフライパンで油を熱してから肉を投入して、かき混ぜていたのでありましたが、私なりに文献的考察を加え、今ではフライパンが冷たい状態のまま油をひき、肉を並べて、かき混ぜず、弱火でゆっくり加熱するようにしております。柔らかく仕上がります。この方法は、食材の細胞を壊さず、うま味を逃がさずに柔らかく仕上げるやり方だそうで、魚や野菜にも応用可能です。一度お試しください。
少し経験すると、いろいろ興味が沸いてきて、情報を集めるようになります。テレビ、新聞などで毎日のように料理のレシピが紹介されています。なかでも、私はNHKの「今日の料理」が一番好きであります。昭和32年から60年続いている番組でして、亡母もよく見ていました。今の「今日の料理」は、格式ばったところがなく、私のような料理初心者も十分楽しめる内容となっております。季節の食材を扱ったり、定番メニューでもちょっとした工夫を加えてくれますので、少しレベルが高いです。それ見てると、作りた~い!食べた~い!と、自然に思うようになります。
そこで、妻と「今度何食べようか」という話になったとき、「あそこでやってた○○を作ってみよう」という会話をするようになります。以前は、「何でもいいです」という感じでしたので、全然違いますね。土曜日に買い物に出かけ、夕方から作ります。サクラマスのソテー、ブリの金砂粉かけなど作りました。大概、美味しくできます。これやりますと、ただの夕食が、週末の体験イベントに様変わりします。レパートリーもどんどん増えます。
また、食事に出かけた時も、「この食材はどこで手に入れるんだろう?」とか、「どうやって調理してるんだろう?」という話がでるようになりました。お寿司屋さんでは刺身の切り方、ステーキ屋さんでは肉の焼き方を細かく観察しております。とあるお店の蕎麦湯を使ったシャブシャブがおいしかったので、早速真似しております。エビの頭やシッポを塩して揚げると、ビールのお供によいということも、他店から仕入れました。
コロナで不自由な暮らしとなっていますが、悪い事ばかりじゃありません。楽しみを見つけて、暮らしていきたいと思います。
(令和4年5月号)