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新潟市医師会報より

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私の柚子物語

八木澤 久美子

突然ですが急性巨核芽球性白血病FAB分類M7をご存知ですか?ずいぶん前のことになりますが大学病院血液内科形態班だった私のところへ小児科から診断依頼がきました。資料を見させていただき電子顕微鏡(電顕)の検体も作成し光学顕微鏡(光顕)所見も合わせM7で間違いないと判断しました。ところがその時は師匠であったK先生が長岡赤十字病院に移動されたばかりでした。血液内科形態班とはいえ、こんな頼りない若輩者の私が診断したところで「本当?」と信用されないに違いありません。そこでK先生のお墨付きのひとことをもらいに長岡まででかけることにしました。資料、光顕と電顕の検体を見ていただき「そうですね、間違いありませんね」とのお言葉をいただきました。この相談はほんの数分で終了しました。せっかく赤十字病院まで来たのだからと病院内を散策し、売店に寄ってみることにしました。長岡赤十字病院が新しくなり、数年しか経ってない頃でした。そこで観賞用の鉢植え80cmくらいの小さい柚子の木に出会ったのでした。運命の出会いです。3cmくらいの小さい柚子が2個ついていました。あまりのかわいさにさっそく買ってかえり、柚子の実をながめて過ごしていましたが、元来飽きっぽい性格の私はそのうち飽きてしまいました。捨てるには忍びなく庭の片隅に植えることにしました。そのうち枯れてなくなるでしょう。その後、私はその柚子の存在をすっかり忘れてしまいました。8年経ったある日、義母が「久美子さん、庭に柚子がなってるよ」と教えてくれました。「あ、本当だ、植えたの忘れてたわ」。まだ細い枝に5~6個柚子がなっていました。その年は柚子湯で楽しみました。義母によれば、少しずつ数も増えるし、大きさも大きくなっていくそうです。その予告どおり柚子は毎年少しずつ数を増やしていきました。どうしよう、何かお料理に利用できないかな、そこで以前料理本で見たことがある柚子胡椒を作ってみることにしました。はじめは青くさくてまずく食べられたものではありません。ところが1週間もするとおいしくなっていました。3か月するとさらにまろやかな味になりました。冷凍庫に入れておけば2年もつそうです。参考にしたのは長崎県出身の料理家さんの本です。長崎県ではあの勇壮な「くんち祭り」の10月8日ころに各家庭で柚子胡椒作りをするそうです。では新潟はその2週間後かなと考え、毎年10月3週目に作るようになり、食塩量を工夫し量産も試みました。今では我が家の味となり、離れて暮らす子供たちにも送っています。さて柚子胡椒を作る際に残った柚子そのものはもったいないです。そこで柚子ポン酢を作ることにしました。その時にテレビで見た旅紀行番組で広島県の河豚料理屋さんでは冬に毎年1年分の柚子ポン酢を作っていると放送されていました。これも自分なりに醤油やみりんの量を工夫して美味しい柚子ポン酢が完成しました。今回は柚子胡椒と柚子ポン酢のレシピをご紹介します。作るのは10月2~3週頃です。

冬になると柚子は青柚子から黄柚子となります。これはこれで漬物におせち料理にと使ったり、お酒を飲む人は果汁を焼酎に入れて柚子サワーにしたりと本当に便利です。お菓子用にジャムを作ったり、柚子ピール、オランジェットも作りますので、活用しすぎて結局柚子湯にまわらなくなりました。

事の発端となったM7患児の方がその後どうなったか全くわかりません。もし生存されていればとっくに成人している年齢です。お元気ならいいなあと思います。柚子に出会わせてくれてどうもありがとう。

作り方

柚子胡椒:青柚子ゴルフボールより少し大きな物30個(写真1)、その皮をむくと187gとなった(写真2)。青唐辛子30本、種を除くがそのうち3本は種をとらずつけておく。塩75g 必需品は手袋と眼鏡、マスク。青唐辛子は刺激が強いので要注意。とにかく細かく刻んでからすり鉢(写真3)ですります。この中に柚子果汁4~5個分くらい加える。できあがったら清潔な瓶に入れて冷凍。1か月ぐらいで食べることができ2年もつ。作りやすい分量はこの1/3くらい、柚子10個くらい。

柚子ポン酢:柚子胡椒を作った次の日はポン酢を作る(写真4)。柚子果汁400ml醤油400mlみりん130ml(全体の14%、みりんの量はお好みで)鰹節けずり40g昆布15cm(写真5)全て混ぜ、これをラップして7日間冷蔵庫に入れておく。入れ物は琺瑯、陶器、ガラスがおすすめ。7日後、昆布と鰹節はとり除き清潔な瓶に入れて冷蔵保存。3か月過ぎるとまろやかさが出てくる。約6か月以上もつと思うが保障はしない。ちなみに我が家は10か月は冷蔵して使用しているが問題ない。

写真1 我が家の柚子

写真2 柚子の皮

写真3 すり鉢ですりすり

写真4 皮をむいた柚子

写真5 柚子ポン酢

(令和8年6月号)

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