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新潟市医師会報より

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『京都の凸凹を歩く 高低差に隠された古都の秘密』

黒田 兼

「地形は変えられない。変えても土地が覚えている」

これはNHK『ブラタモリ』でタモリさんが語った言葉です。街を発展させるため、人は土を盛ったり削ったり、あるいは川を付け替えたり、不要になれば水路を埋めたりします。これを繰り返すわけですから、時代を経れば経るほど、元の地形は消えていくはずです。しかし、現実にはどこかに必ず痕跡が残ってしまう。例えばこの中央区なら古町近くの人情横町「浦安橋遺構」は、埋め立てられた二番堀に架けられていた橋の欄干です。人情横町商店は元の堀の跡に建てられ、堀の形を今にとどめます。このように身近な場所でも土地の痕跡を見つけることができるのですから、794年に平安京が造られた京都は、痕跡の宝庫に違いありません。

著者の「京都高低差崖会崖長」梅林秀行さんは、『ブラタモリ』の京都の回の案内人としてよく登場する方です。この本で紹介されるのは7カ所。中でも行きやすいのは「祇園」と京都国立博物館隣の方広寺「大仏」の跡だと思いますが、今回はあえて行きづらい「御土居」を取り上げます。

長い京都の歴史で、街の大改造を行ったひとりが豊臣秀吉です。御土居の建設理由は諸説ありますが、京の街中に聚楽第を造った後、街全体を取り囲む防壁として築いたのではないかといわれています。大きさは南北約8.5km、東西約3.5kmの縦長ですが、きれいな長方形ではなく不思議な形をしています。東側は鴨川に沿っており、堤防の役割も果たしたようです。

著者はこの章で次のように述べています。

「御土居を歩くとは、このように京都の周辺部だからこそ見つかる言葉や歴史を感じる旅でもあるはずです。そしてそれは、「京都人」とはいったい誰のことだろうか、誰か見過ごされてはいないだろうかと問い続ける作業でもあるでしょう。御土居は今でも、多くの問いを発信し続けています。」私はこの本を携え、同じコースを歩いてみて、京都の違う一面を肌で感じることになります。

京都の北に位置する大徳寺から西へ約1kmほどのところに御土居史跡公園があります。住宅地を抜けると木が茂った2mほどの高さの土塁が続いているのですが、そこを西へ抜けて御土居の外側を見ると、10mくらいの急斜面となっています。そばを流れる川の河岸段丘を利用したものだそうです。そして御土居のすぐ外側には旧京都朝鮮第三初級学校の跡地があります。以下、本文の要約です。「京都市北部は、戦前期まで在日コリアンの人びとが特に集まっていた地域でした、人びとの多くは差別などによって市街地中心部に自宅を構えることは難しく、結果として周縁部の御土居周辺に集まってすむようになったのです。」

さてそこから南へ歩くと、「楽只(らくし)地区」と呼ばれる地域があります。御土居のすぐ脇に接する位置です。のどかな住宅地ですが、江戸時代には被差別民が住んだ地域だそうです。江戸時代中期に幕府によって、市街地に近い位置から現在の位置に移転させられたとのことで、豊臣政権時代から江戸時代にかけて、ほかの地区でも同様にして被差別部落は御土居周辺に新たな村を形成していった経歴があるそうです。この住宅街の一角に、

「人の世に熱あれ、人間に光りあれ」

と「水平社宣言」の一節を記した石碑があります。全国水平社の初代委員長 南梅吉がこの地域に住居を構えていたことから、この記念碑が建てられたそうです。このように御土居は社会的にも京都の内と外を分ける存在だったようです。

一般的に京都のイメージは、平安の昔から続くみやびな街というものかもしれません。しかし考えてみると、多くの人びとの生活の場ですから、きれい事ばかりではないのは当然です。このコースではちょっと衝撃を受ける風景も目にしました。そしてこれを契機に、被差別部落の問題にも興味を持ちました。いろいろな意味で京都の奥深さを思い知らされる本でした。

『京都の凸凹を歩く 高低差に隠された古都の秘密』

著者 梅林秀行
出版 青幻社
発行日 2016年5月1日
定価 1,600円

(令和元年10月号)

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