笹川 基
昨春、病院勤務医人生に終止符を打ち、健診業務に携わることとなりました。外来診療、手術、そして病棟回診と、朝から晩まで働き詰めの毎日から解放され、少し自分の時間が持てるようになりました。
病院に勤務していた頃は、読書とはほぼ無縁の生活でした。就眠前に文庫本で小説を読む以外、本を手に取るのは決まって医局であり、婦人科腫瘍学専門書に限られていました。医学部を卒業して以来、専門領域外の医学書を読むことは、ほとんどありませんでした。
健診業務では座っている時間が長いため、終業後にはなるべく散歩するように心がけており、本屋を見つけては立ち寄るようになりました。
以前は、文庫本コーナーで司馬遼太郎や山崎豊子などの小説本を眺めることしかしませんでした。世に出る書籍のごく一部分を覗いていたに過ぎません(もったいなかった…)。本屋通いを始めてから、店中をうろうろし、さまざまな本を手に取る喜びを覚えました。
最近、雑誌も購入するようになりました。1,000円前後で買える魅力ある雑誌が、店頭にたくさん並んでいます。クラシック音楽の『MOSTLY CLASSIC』、男性向け趣味雑誌『男の隠れ家』、世界の美しい風景写真などが掲載されている季刊雑誌『美・プレミアム』など、各号のテーマをみながら購入、楽しんでいます。
偶然店先で、科学雑誌『Newton別冊』に出会いました。『人体完全ガイド』(2018年5月10日発刊)です。大きな解剖図から始まり、消化器、泌尿・生殖器、呼吸・循環器、皮膚・骨・筋肉、感覚器官、脳・神経、血液・免疫と全身器官についての、解剖学、生理学、病理学などが、素人でもわかるように解説されています。特定健診などでは専門領域以外の生活指導をする機会も多く、掲載されている知識が役立つだろうと思い、買いました。
『Newton別冊』の特徴は、大きな解説図がふんだんに用いられていることです。専門用語が長々と綴られているより、理解しやすいと思います。
『40人の医師・専門家が教える体と病気の科学知識』、『体の科学知識・体質編』、『現代人をむしばむ五つの大病』、『からだの検査数値』、『くすりの科学知識』、『最新科学にもとづく食と健康の正しい知識』、『死とは何か』など、雑学勉強中です。専門医学書に比べ圧倒的に安く、日本を代表する研究者たちによる最新知識が、わかりやすく記載されています。
医学・薬学の他、天文学・地学、生物学、物理学、数学、工学、化学、歴史・遺産などさまざまなテーマが取り上げられています。
『山中伸弥教授が語る最新iPS細胞』、『人工知能のすべて』、『宇宙大図鑑200』など魅力的な新刊書が多く、少しずつ興味の輪を広げてゆきたいと思っています。
『Newton別冊』
出版 | ニュートンプレス |
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定価 | 1,800円+税 |