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新潟市医師会報より

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新型コロナウイルスワクチンの副反応

菊地 利明1)、内山 正子1)、新保 明日香1)、
青木 美栄子1)、張 仁美1)、佐藤 瑞穂1)、
柴田 怜1)、茂呂 寛1)、冨田 善彦2)
1)新潟大学医歯学総合病院 感染管理部
2)同病院長

2019年12月中国の武漢で報告された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中に拡がり、感染者数は1億8千万人を超え2億人に迫ろうとしている(2021年6月末現在)。本邦でも増加が報告されているB.1.617系統の変異株(デルタ株)や全国の感染者数の状況に目を離せない状況が続いている一方で、高齢者を中心にCOVID-19に対するRNAワクチンの接種が全国的に進んでいる。先行して用いられたコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(BNT162b2、コミナティ筋注)には、90%を超えるワクチン効果と重症化予防効果が示されており、接種の普及によって集団免疫効果も期待されている1、2)。

以下本稿では、COVID-19に対するRNAワクチンの副反応について、新潟大学医歯学総合病院の職員接種での状況を中心に概説する。

新潟大学医歯学総合病院では、職員3,378名を対象に、2021年3月8日よりコミナティ筋注(BNT162b2)の接種を開始した。3週間後の3月29日より2回目の接種を行った。ワクチン接種を受けた職員全員に対しアンケート調査を行い、3,172名より回答を得た。なお、回答を得た3,172名のうち30名は、2回目の接種は受けていない。

図1に示すように、1回目の接種では69%の職員が、2回目の接種では85%の職員が、なんらかの副反応を訴えていた。その割合を、性別・年齢別に重回帰分析してみたところ、全体的には、既報の通り1)、女性と若年層で高い傾向があった。1回目の接種では、性別と年齢がともに有意で、副反応を訴えた職員の割合は40歳代で最も高かった(図1B)。2回目の接種では、年齢のみが有意で、副反応を訴えた職員の割合は30歳代で最も高かった(図1D)。

局所反応である接種部痛については、1回目の接種で97%、2回目の接種で88%と、ほとんどの職員が訴えていた(図2)。その接種部痛の出現日、程度、持続期間については、1回目接種と2回目接種を比較して大きな違いは認めなかった(図2Aと図2C)。接種部痛を訴えた職員の割合を、性別と年齢別に重回帰分析してみると、やはり女性と若年層で高い傾向を認めるものの、1回目接種と2回目接種いずれでも、性別と年齢に有意性は認めなかった(図2Bと図2D)。

これに対し、全身性反応である頭痛(図3)、発熱(図4)、倦怠感(図5)については、1回目の接種に比べ、2回目の接種で訴える職員の割合が顕著に増加した。頭痛は1回目接種の19%から51%へ(図3Aと図3C)、発熱は1回目接種の10%から60%へ(図4Aと図4C)、倦怠感は1回目接種の33%から79%へ(図5Aと図5C)それぞれ増加した。

全身性反応については、その出現日にも共通した特徴が見られた(図3−5)。1回目接種では「接種当日から」と「接種翌日から」がほぼ半々なのに対し、2回目接種では「接種翌日から」が圧倒的に多くなった。2回目接種で、翌日から頭痛が出現した職員は頭痛を訴えた職員の70%(図3C)、翌日から発熱が出現した職員は発熱を訴えた職員の82%(図4C)、翌日から倦怠感が出現した職員は倦怠感を訴えた職員の71%(図5C)、とそれぞれ1回目接種時より増加した。

全身性反応の程度についても、頭痛(図3)、発熱(図4)、倦怠感(図5)で同様に、1回目接種より2回目接種で悪化した。1回目接種で中等度以上の頭痛が出現した職員は頭痛を訴えた職員の25%だったのに対し(図3A)、2回目接種では43%と増加した(図3C)。1回目接種で38℃以上の発熱が出現した職員は発熱を訴えた職員の13%だったのに対し(図4A)、2回目接種では43%と増加した(図4C)。1回目接種で中等度以上の倦怠感が出現した職員は倦怠感を訴えた職員の19%だったのに対し(図5A)、2回目接種では52%と増加した(図5C)。

しかしながら、全身性反応の持続期間については、頭痛(図3)、発熱(図4)、倦怠感(図5)のいずれにおいても、1回目接種と2回目接種で顕著な違いはなかった。2回目接種の倦怠感を除き、それぞれの副反応を訴えた職員の50%以上で、その持続期間は1日程度であった。2回目接種の倦怠感については、倦怠感が出現した職員の56%で、2日以上にわたって倦怠感が持続していた(図5C)。

全身性反応の重回帰分析については、2回目接種で、頭痛(図3D)、発熱(図4D)、倦怠感(図5D)のいずれにおいても、年齢は有意な変数であり、50歳代、40歳代、30歳代、20歳代と年齢が下がるにつれて、それぞれの副反応を訴える職員の割合は増加した。さらに2回目接種では、発熱(図4D)と倦怠感(図5D)で性別に有意性を認めなかったものの、頭痛(図3D)を訴える職員の割合は女性で有意に高い傾向を認めた。

RNAワクチン(BNT162b2、コミナティ筋注)の重大な副反応としてアナフィラキシーが知られており、100万回接種で11.1回の頻度と報告されている3)。本院職員での約7,000回の接種でも1例の方にアナフィラキシーを疑う副反応を認めており、決して極めて稀な副反応ではないことから、COVID-19対策として広くワクチン接種を行っていく上で、十分留意していかなければならない。

COVID-19に対するRNAワクチンとして、コミナティ筋注(BNT162b2)に加え、COVID-19ワクチンモデルナ筋注(mRNA-1273)が認可され、東京や大阪などの大規模接種会場で使用され始めている。その臨床効果や副反応はほぼ同等と報告されている4、5)。しかし、現在増えてきているB.1.617系統の変異株(デルタ株)や今後新たに出現してくる変異株の状況によっては、コミナティ筋注(BNT162b2)とCOVID-19ワクチンモデルナ筋注(mRNA-1273)の2種類のRNAワクチンの効果も変わっていく可能性があり、今後の感染動向に注意していく必要がある6)。

謝辞

本稿で紹介したデータは、太田耕治氏、島田彰氏、伊藤和美氏、櫻井洋資氏、白倉優氏、浜津拓真氏、岡田俊氏ら多くの新潟大学医歯学総合病院職員にご協力を頂いて収集したものである。ここに感謝の意を表する。

引用文献

1.Polack FP, et al.: Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine. N Engl J Med, 383: 2603-2615, 2020.

2.Dagan N, et al.: BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Mass Vaccination Setting. N Engl J Med, 384: 1412-1423, 2021.

3.Cabanillas B, Novak N: Allergy to COVID-19 vaccines: A current update. Allergol Int, 70: 313-318, 2021.

4.Baden LR, et al.: Efficacy and Safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine. N Engl J Med, 384: 403-416, 2021.

5.Chapin-Bardales J, Gee J, Myers T: Reactogenicity Following Receipt of mRNA-Based COVID-19 Vaccines. JAMA, 325: 2201-2202, 2021.

6.McCormick KD, Jacobs JL, Mellors JW: The emerging plasticity of SARS-CoV-2. Science, 371: 1306-1308, 2021.

図1 なんらかの副反応を訴えた職員の割合。新型コロナウイルスRNAワクチン(BNT162b2、コミナティ筋注)の接種を受けた当院職員3,378名にアンケート調査を行い、3,172名より回答を得た。A.1回目の接種でなんらかの副反応を訴えた職員の割合。B.重回帰分析のてこ比プロット。Aの性別・年齢別データを用いて重回帰分析を行った。性別と年齢はともに有意な変数であった。C.2回目の接種でなんらかの副反応を訴えた職員の割合。D.重回帰分析のてこ比プロット。Cの性別・年齢別データを用いて重回帰分析を行った。年齢のみ有意な変数であった。BとDでは回帰直線(実線)と95%信頼区間、および平均(点線)を示す。

図2 接種部痛を訴えた職員。A.1回目の接種で接種部痛を訴えた職員の割合、および、その接種部痛の出現日、程度、持続期間。B.重回帰分析のてこ比プロット。Aの性別・年齢別データを用いて重回帰分析を行った。C.2回目の接種で接種部痛を訴えた職員の割合、および、その接種部痛の出現日、程度、持続期間。D.重回帰分析のてこ比プロット。Cの性別・年齢別データを用いて重回帰分析を行った。BとDでは回帰直線(実線)と95%信頼区間、および平均(点線)を示す。

図3 頭痛を訴えた職員。A.1回目の接種で頭痛を訴えた職員の割合、および、その頭痛の出現日、程度、持続期間。B.重回帰分析のてこ比プロット。Aの性別・年齢別データを用いて重回帰分析を行った。性別のみ有意な変数であった。C.2回目の接種で頭痛を訴えた職員の割合、および、その頭痛の出現日、程度、持続期間。D.重回帰分析のてこ比プロット。Cの性別・年齢別データを用いて重回帰分析を行った。性別と年齢はともに有意な変数であった。BとDでは回帰直線(実線)と95%信頼区間、および平均(点線)を示す。

図4 発熱を訴えた職員。A.1回目の接種で発熱を訴えた職員の割合、および、その発熱の出現日、程度、持続期間。B.重回帰分析のてこ比プロット。Aの性別・年齢別データを用いて重回帰分析を行った。年齢のみ有意な変数であった。C.2回目の接種で発熱を訴えた職員の割合、および、その発熱の出現日、程度、持続期間。D.重回帰分析のてこ比プロット。Cの性別・年齢別データを用いて重回帰分析を行った。年齢のみ有意な変数であった。BとDでは回帰直線(実線)と95%信頼区間、および平均(点線)を示す。

図5 倦怠感を訴えた職員。A.1回目の接種で倦怠感を訴えた職員の割合、および、その倦怠感の出現日、程度、持続期間。B.重回帰分析のてこ比プロット。Aの性別・年齢別データを用いて重回帰分析を行った。性別のみ有意な変数であった。C.2回目の接種で倦怠感を訴えた職員の割合、および、その倦怠感の出現日、程度、持続期間。D.重回帰分析のてこ比プロット。Cの性別・年齢別データを用いて重回帰分析を行った。年齢のみ有意な変数であった。BとDでは回帰直線(実線)と95%信頼区間、および平均(点線)を示す。

(令和3年8月号)

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