高橋 淑子
先日、ショッキングなアドバイス(本人はブラックジョークというが)をもらった。
GWは市内で過ごすのが恒例なので、旅行のお土産が用意できない私は、デパートの銘菓コーナーでお土産がわりのおやつを物色していた。お団子に愛らしい動物がプリントされた「きびだんご」が目に留まった。個包装が望ましいが、忙しい合間にパクっとつまめて、においもさほど気にならないので、これがいいと決めようとしたら、「う~ん、これを食べた職員さんはお母さんの家来ってことになるのか。1種のパワハラだね。鬼退治イコール治療ね。アハハ!」と元々ひねくれものの豚児からのアドバイス。かわいいお菓子をみつめながら、考えこんでしまった。でも、相手が好まないお菓子(若い世代はあんこが苦手な人が多い)もだめでしょう…そういえば、お餅が苦手な人いたなあ。結局面倒になって、自宅で食べる菓子だけを購入した。
友人の職場では、スメハラ(スメルハラスメント)が問題になっているらしい。最近はジョギング中にすれ違う、石鹸などの良いにおいを漂わせている男性の多いこと。皆さん、人知れず気を遣っている。
ところが、柔軟剤にしろ香水にしろ強すぎるにおい(人によって感度が異なるから厄介)がかえって人を不快にすることがあることからも、ハラスメントとは、表裏一体の問題をかかえている。
現在は、SNSの普及もあって40種類ちかくのハラスメントが、多くの人に認識されている。ただ、根本を理解する前に言葉だけが先行している節もある。私自身、診療時の接遇は頭にあっても、深くこの問題を考えたことがなかった。環境にも左右されるが、年齢もそうさせている。大きな組織の中にいれば、否応なしにまとわりついてくることだが、そうでない場合、半世紀以上生きている者には、希薄になりがちな問題かもしれない。
さらに自分の嫌なことや思い通りにならないことを「ハラスメント」と位置づけられるとお手上げで、この辺りが、これからの道徳教育の鍵になってくるのであろう。
ほんの少しの思いやりと我慢がキーワードになると思うが、自分自身、人としての在り方にいささか不安をもつ昨今である。
(平成30年6月号)