伊藤 一寿
例えばカレンダーでは6月=梅雨、7月=初夏のイメージになっていますが、少なくとも新潟は7月こそ梅雨本番と思っています。気象庁によれば北陸地方の平年の梅雨明けは7月24日ころ、昨年は8月2日ころとのことでした。この号が出る時分にはもう梅雨は明けていますでしょうか。
さて私の梅雨明けの話を一つ。
結果にこだわる真剣なゴルフをするようになって数年。スコアを縮めるためにネットの動画や雑誌から知識を得て、それを練習場で試すといったことを繰り返していました。これはいいぞといったヒントに巡り合うと一時的に調子が良くなるのですが、長続きせずすぐ元に戻ってしまいます。あるポイントが良くなるとそちらに注意を奪われて、他の重要なポイントが疎かになってしまうのでしょう。どこを修正したらよいのだろうとまたいろいろと試すことになるのですが、一日で解決することは稀で、半月くらいを要することもざらでした。それでもはじめのうちはこのような試行錯誤も楽しく思え、これを積み重ねてだんだんと上達していくのだろうと考えていましたが、ゴルフは出来が点数で表されるスポーツ、何年たってもほとんど進歩していないことに気づくのでした。これだけ時間を割いて探求を続けても上達はごくわずかで、行き詰まり感でどんよりとしていたところ、同級生のY先生がゴルフスクールを紹介してくれました。
ここでのレッスンで、今まで正しいと思っていた練習の仕方が根本から違っていることに気づかされました。「背中などのなるべく体の大きな筋肉を使って打つ」ことが大事と思っていましたが、コーチは「まずは小手先だけで打ってください」とおっしゃいます。目の前でお手本を見せてくれるのですが、なるほど手首のターンを存分に使ってはいるけれど不自然でない、スムースだ、この動作だけで普通にゴルフが出来そうです。今までは大きな動きを作っておいて末梢を整えていくといった考え方をしていましたが、どうもゴルフスイングというのはそうではなく、まず一番重要な細かい部分を完成させてから、それを膨らませて大きくしていくといった作り方が正解のようでした。転じて他のものづくりの場合でも、大雑把から細かへの流れだけでなく、こだわりの細部から全体を作り上げていく意識もあると良いのだろうなとふと思った次第です。ともかくこれからは自分で改良点を考える必要はない、教わったことを練習してできるようにするだけでいいのだと晴れやかな気持ちになれたのでした。
(平成30年7月号)