松浦 恵子
「ああ、もう夏も終りだ!」私にとって8月の終りは夏の終りとの思いがあり、特にお盆を境にそれを意識します。
我が家の菩提寺は、私が小学生の頃は西堀にありました。8月13日お盆にはいつもより早く帰宅する父を待って、同居していた(というより我が家の重鎮だった)曾祖母、両親と私と妹の5人で、暮れかかる西堀のお寺へお墓参りに行きました。お盆の度、何度か行ったにもかかわらず、墓地の様子はあまり覚えていません。お墓参りの後でお寺の座敷に招じられ、サイダーやプラッシーなど(家ではついぞ口にできなかった)冷たい飲み物をいただくのがとても楽しみで、西堀通りを歩く墓参りの家族連れの声が座敷の窓から聞こえていたことも思い出されます。
その後お寺は新崎に移転しました。新崎のお寺へは13日の午前中、祖母と私たち姉妹の3人で叔父(わが親族で、唯一自動車免許を持っていた)が運転する車で行きました。それも私が高校に入ってからは同行しなくなり、その後30年くらいはお盆のお墓参りから遠ざかっていました。近年は私が運転して両親と行くお盆参りが恒例になりました。そこに娘が同行するようになり、今では娘の運転で行くお盆参り。時の流れを感じます。
子ども時代の夏休み、暑さをやり過ごすための昼寝が日課でしたが、お盆以降はめっきりと暑さも和らぎ昼寝中に時折冷たい心地よい風が混じると、夏の終りが近いことを感じたものです。ああ、もう昼寝しなくても過ごせるんだ、もうじき夏休みが終る、夏が終るんだな。
お盆から後、残り少ない夏休みの日数に心細さを覚える、というのが小学校入学から繰り返された、私の夏の記憶です。子ども時代のこの刷り込みは強力で、時は流れても(たぶんこの先もずっと)、お盆を過ぎると心細く8月の終りが夏の終りという思いから逃れられないことでしょう。
実際には、まだまだ残暑の厳しい“夏健在!”の8月の終りです。皆様にはこの夏はどんな夏でしょうか?あと一息、暑さを乗り切りましょう。
(平成30年8月号)