相馬 博志
2020年東京オリンピック、パラリンピック大会まで、あと2年を切りました。まだ2年あると思っている人、もう2年しかないと思っている人、そんなことどうでもいいと思っている人、様々な思いをのせて近づいて来ます。
前回の東京オリンピック大会は、1964年に開催されました。その年の6月、新潟は大きな地震に見舞われました。我が家は津波に襲われ半壊の状態で住むことができず、しばらく母親の実家で避難生活を送っていました。思えばそれから50数年、当時のことがはっきり記憶に残っている人は、現在60歳以上の方々ということになるでしょうか。この時の大会で、日本は金メダル16個、銀メダル5個、銅メダル8個を獲得しています。2020年の大会では何個のメダルが取れるのでしょうか。
それより心配なのは、開催時期の問題です。1964年の大会は、10月10日が開会式でした。さわやかな秋晴れの空に、自衛隊ブルーインパルスの描く五輪の輪が印象的でした。2020年の大会の開会式は7月24日とのこと、夏真っ盛りのこの時期に行なうのはなぜ?と思っていたら、莫大な放映権料を負担するアメリカのテレビ局に配慮したためのようです。今年の様な猛暑の夏がまた2020年もやって来るとしたら、選手だけでなく、スタッフ、観客の体調が懸念されます。
「大丈夫かな」ですよね。
今年度のノーベル医学生理学賞を本庶佑京都大学特別教授に授与するとの発表がなされました。受賞理由は「免疫反応のブレーキを解除することによるがん治療法の発見」というものです。この発見を基にその後免疫治療薬ニボルマブ製剤が実用化され、がん免疫療法という、手術、放射線、抗がん剤に続く第4の治療法として新しい道が切り開かれました。そして、一部の患者は長期の生存が可能になったのです。
ところが、先日届いた学術雑誌に「ニボルマブ初回投与後の肺障害により不幸な転帰をとった頭頸部癌例」と題した症例報告が載っていました。ニボルマブ投与5日後に、全身倦怠感に呼吸困難も加わり、投与13日後に死亡したものでした。まだ安全性が充分ではない面があるのですね。
(平成30年10月号)