今から30年位前、私は新潟伊勢丹で麻製の緑のシャツと白のブルゾンを購入しました。ブランドの名前はカール・ラガーフェルド。その時、初めて彼の名前を知りました。
2月19日、モード界の皇帝カール・ラガーフェルドが85歳で亡くなりました。白髪のポニーテールにサングラスと手袋、一時期は扇子を持った姿が印象的でした。68歳の時、エディ・スリマンがデザインしたディオール・オムのスーツを着るため、13カ月で42kgのダイエットに成功して話題になりました。
イヴ・サンローランがオートクチュール学校の同級生で、カールのライバルでした。カールは1965年にフェンディのデザイナーに就任。ガブリエル・シャネルが1971年に亡くなり、その後低迷していたシャネルのデザイナーに1983年に就任。ブランドを見事に復活させ、シャネル帝国を築き上げました。
当時、老舗ブランドの再興という事例は一般的ではなかったそうです。その後、クリスチャン・ディオールやグッチがブランドを再興させています。しかしどちらも今は違うデザイナーに変わっています。カールは亡くなるまでフェンディとシャネルのデザイナーを務め、フェンディとはモード史の中で最も長い54年のコラボレーションとなりました。
フェンディは2月21日にミラノ、シャネルは3月5日にパリでコレクションを発表しました。彼は亡くなる前日までイタリアとの電話で生地について議論していたそうです。自分自身のスタイルには、トレンドを取り入れてアップデートを続ける一方、デザインにおいては、他人のものを取り入れたことが一度もなかったそうです。トレンドの発信源として真の天才、モード界のレジェンドです。
シャネルの古着の価格が上昇しています。彼が亡くなったことにより需要が増し、特に1990年代のものが人気だそうです。シャネル製品をお持ちの方は、大事にとっておくと価値が出てくるかもしれません。私はこんな事があると、衣類の収納場所が足りないのに、断捨離が進みません。
(太田 正行 記)