伊藤 一寿
1987年に公開され大ヒットした映画『私をスキーに連れてって』。当時、大学生だった私はこの映画を観てほとんどその足でスキー用品を買いに行きました。
この映画を観る前でも高校のスキースクールなどでスキーをする機会はありましたが、太ももピチピチで裾拡がりな、いわゆるデモパンを着用して滑るのが一般的で、普段着から大いにかけ離れたシルエットに抵抗を持っていました。映画が公開された頃にはワンピースタイプのウェアが主流になるなどだいぶ様変わりし、これなら着ても悪くないなと思えたこともスキーを始めるにあたり大きかったと思います。
この映画のヒットと、バブル真っただ中でもあったことよりスキー人口は爆発的に増加しました。国土交通省の『スノーリゾート地域の現状』では1987年800万人だったスキー人口が1987年から1988年で100万人も増加、さらに1988年から1989年にかけて200万人、1989年から1990年かけては220万人、1991年には一気に320万人も増えたと報告しています。そして1993年にスキー人口はピークになり1770万人にも上りました。千葉県船橋市に屋内スキー場ザウスがオープンしたのもこの年です。ちなみにスノーボードが普及してきたのは1997年頃からで、スキーとスノーボードを合計した人口のピークは、長野オリンピックが開催された年と同じ1998年の1800万人であったそうです。
さて、最近のスキー・スノーボード人口ですが、620万人(スキー400万人、スノボ220万人(2017年度))で、最盛期のおよそ3分の1まで減少してしまいました。全国にあったスキー場も以前と比べて2〜3割も減少しているそうです。自分がお世話になっている近場のスキー場がなくなったら困るなと思っていましたが、幸いこういった減少傾向は最近になり落ち着いてきているようで、2017年には兵庫県に14年ぶりに新しいスキー場がオープンしたと聞きました。多くのスキー場で子供のリフト券を無料にして、その親にあたる40~50代の中断者の掘り起こしを図るとともに、19歳のリフト券も無料にして若年層へアピールするといった取り組みがされており、そういった効果がみられ始めているものと思われます。
今年は暖冬で例年に比べてスキーに行く回数がぐっと減っていますが、冬にしかできないアクティビティです。普段行かない、やや遠めのスキー場にも久しぶりに足を延ばしてみようと考えています。
(令和2年2月号)