相馬 博志
つい数か月前までこんな世の中になるとはだれが予想できたでしょうか。
5月6日現在、新型コロナウイルス感染者は世界全体で360万人近くに上り、死者は25万人を超えています。この会報がでる5月の終わりごろにはどんな数字になっているか、興味深いところです。興味深いなど悠長なことを言っている段階ではないかもしれません。
同じ日、国内での感染者は1万5000人を超え、死者は500人を超え、まだまだ増加傾向に歯止めがかかりません。
テレビのニュース番組は朝から晩まで新型コロナウイルス関連の話題にほとんどの時間を費やしていますが、それだけ事が重大だということでしょう。
この感染症の厄介なところは、感染しても全く症状の出ない人から、数日の間に呼吸困難を起こして、人工呼吸器をつけることになる人まで、症状の重さに非常に差があることでしょう。
報道でもあったように、自宅待機の感染者が急激な体調の悪化で自宅で亡くなる例がありました。そもそも急激な体調の悪化がありうることは、以前から指摘されていたことでいくら準備が間に合わなかったといえ、自宅待機は避けるべきだったことは、否定できません。
他にも、色々な問題を生じました。
2020年東京オリンピック、パラリンピック開催の件です。一応1年延期して来年の同時期開催となりましたが、専門家の間では、通常開催は、まず無理だろうとの意見が大勢のようです。2018年10月号のあとがきで、暑さに対する懸念を述べましたが、それどころではない事態になってしまいました。
もう一つの問題は、感染者並びにその家族に対する誹謗、中傷、医療関係者への差別、偏見です。2017年2月号で東日本大震災で福島県から避難した児童生徒への心無い言動が、地震被害を何度となく経験した新潟県でもみられると記しました。メディアでもときどき取り上げられてはいますが、こうした誹謗、中傷、差別、偏見をなくすために、国はもっと強いメッセージを、出すべきです。
こんな寂しい、ゴールデンウィークは2度と味わいたくないものです。
(令和2年5月号)