太田 正行
先日、家に帰ったらテーブルの上に『Number』が置いてありました。スポーツ誌なのに将棋の特集号で、表紙は藤井聡太二冠です。「藤井くんだけの特集なら買わないけど、いろいろな棋士が載っているから。20万部も売れて私もその1人ね」と妻が言います。さらに増刷され、23万部となり14年ぶりの発行部数だそうです。
藤井人気から将棋そのものが流行となり、我が家も「観る将」になりました。昔、私は「指す将」でした。見るだけで何が楽しいのかと思っていました。妻はネットで対局日程を調べ、対局経過をチェックしています。将棋で対局すれば妻に負けない自信はありますが、「観る将」では妻の方が格上です。
7月16日、藤井七段が棋聖戦で渡辺明三冠に勝利して新棋聖となりました。さらに8月20日、木村一基王位に勝利して二冠となりました。最年少二冠の誕生です(18歳1カ月)。一方、負けた渡辺二冠は8月28日、豊島将之名人に勝利して新名人となりました。史上4番目の高齢記録です(36歳3カ月)。
現在、将棋のタイトルは8つあります。タイトル保持者は、渡辺名人(棋王、王将)、豊島竜王(叡王)、藤井二冠(王位、棋聖)、永瀬拓矢王座の4人。平成8年に羽生善治九段が七冠を制した時代(当時タイトルは7つでした)に対し、平成30年にはタイトル保持者が8人になり、以降は戦国時代と言われています。
渡辺新名人誕生記念に、漫画『将棋の渡辺くん』がネットで20話無料公開され、ハマりました。9月10日に新刊5巻が発売され、全巻揃えました。作者の伊奈めぐみは渡辺名人の奥様です。対局中の渡辺名人からは想像できない姿を面白おかしく描いていますが、ノンフィクション漫画です。掲載の『別冊少年マガジン』10月号では敗れた棋聖戦が描かれており、渡辺名人が藤井二冠に対する評価や今後の対策について語っています。最後は「今回の棋聖戦 失冠したけどプラスになったことあった?」の質問に「俺 有名になった」で締めくくられています。「観る将」の方にオススメの漫画です。
息子は学校で羽生九段の将棋本を借りて友達と対局しているようです。「なかなか強くなれない」とボヤいています。妻は息子にSwitchのゲームソフト「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」の購入を勧めています。息子の推しは羽生九段、私は当然渡辺魔王です。こんなご時世ですが、STAY HOMEでもそれなりに楽しい時間を過ごしています。
(令和2年10月号)