竹之内 辰也
コロナ禍の収束が全く見通せない中、これまで普通に営んできた日常生活の様式が大きく変容しています。我々医者の世界においては、製薬企業のMRさんとの付き合い方が大分変わりました。これまではメールで約束して夕方以降の時間帯に医局のロビーで面会していましたが、現在ではもっぱらZoom等を利用したリモート面談になっています。当初は煩わしさもありましたが慣れてくると結構便利で、自分もその場でPCを操作できるので双方向での資料共有もできます。さらに、ただ単にハンコをもらうためや「上司が交代しましたのでご挨拶を…」のような中身のない営業訪問がなくなったのはとてもありがたいことです。訪問業務が減ってリストラされたりしないのだろうかと逆に心配になります。
学会や研究会の類もほぼ全てWeb開催となり、来年予定のイベントも早々に現地開催の断念を表明しています。そんなすぐに諦めなくても…と思うのですが、キャンセル料の問題などもあるのでしょう。とはいえWeb開催も悪いことばかりではなく、遠方まで行かなくとも参加できるので旅費と時間の節約になり、会場のスクリーンよりも自身のPCモニターの方が綺麗な画像で閲覧できます。さらに、大きな学会は多数の会場に分割されるため実際に見聞きできる演題は限られていましたが、Web配信であれば興味のある演題をかいつまんで閲覧することも可能です。弁当なしのランチョンセミナーはWeb開催では成立し得ないと思っていたら、以前と変わらない程度の参加登録があるとのこと。そうなると、もはや学会ってアフターコロナでもこのままのスタイルで良いのではないか?という気すらしますし、本当にそうなるかも知れません。しかし、個人的には学会出張がないのはやはり寂しいです。学会参加を息抜きなどと言っては不謹慎かも知れませんが、病院との繋がりから一時解放されるかけがえのない癒しの時間であり、新幹線や飛行機に乗って新潟を離れていく瞬間の解放感は捨て難いものがあります。1日も早く感染が収束し、学会場で普通にお弁当を頬張れる日が戻るのを願うばかりです。
(令和2年11月号)