熊谷 敬一
今月は新潟市医師会報発刊50周年第600号記念特集号をお届けいたします。丁寧なご祝辞および興味ある玉稿を多数お寄せいただきまして、誠にありがとうございます。50年といえば半世紀であり、人間の一生で働くことができる期間にほぼ相当しており、感慨深いものがあります。
しかし、これは一つの通過点に過ぎず今後とも本会報の発刊は継続いたします。今後、本会報の在り方はどのようなものが望ましいか、いつか必ず検討しなければならないときがくると思いますが簡単には結論は出ないと思います。つまり、本会報の電子化をどうするかです。現状では本会報は冊子体での提供であり、全く同じ内容のものをPDF形式でファイル化して、本医師会ホームページの会員の皆様へのページに2004年度以降のバックナンバーを掲載しております。会員の方はすでにお知らせしてあるIDとパスワードによりログインしていただければ、常時手軽に閲覧していただくことができます。ダウンロードすることもできます。いわば補助的な意味での電子化です。これをもし完全に電子化するとなれば、たとえば双方向性のコミュニケーションの要素を盛り込むなどの新たな仕組みが必要になるでしょう。それ以上にもっと重要なポイントとして、冊子体であることをやめることができるかどうかです。本会報はB5判でちょうど手になじみ、ぱらぱらとめくって興味のある所をすぐに読むことができる適度なボリューム感です。このなじみやすさと紙媒体のリアルな存在感が受け入れられ、愛着をもって読まれているのではないかと思います。それを考えると冊子体であることを簡単には変えられないのではないでしょうか。
人類が存続する限り傷病は必ず伴い、医療と医師の需要は続きます。現在新型コロナウイルス感染症蔓延状況下ですが、ワクチンの接種が始まったところであり光明がみられています。このように人類は各種災害を克服し、また、例えば国連の提唱するSDGsの取り組みが達成されるなどして持続可能な社会が実現できれば、将来の保健医療体制がどうなるかにもよりますが、驚くほどの長い間本医師会も存続する可能性はあると思います。その間、本会報または何らかの後継するものが継続してゆくことを期待いたします。
(令和3年3月号)