勝井 豊
新潟市では、医療従事者への先行接種に続いて、75歳以上の人を対象にして新型コロナワクチンの集団接種が5月15日から、個別接種が5月24日から始まった。当院でも初日の5月24日に6名の希望者に接種を行った。週に3日を接種日として、1日当たり24人を上限にして予約を受け付けているが、問い合わせの電話が殺到して十分な説明ができない状況がしばらく続いた。
現在使用しているワクチンは発症を予防する効果が認められているが、海外でワクチン接種が進んでいる国では流行が下火になっており、専門家の中には感染予防効果もあると述べている人もおられるようである。政府はワクチン接種と感染予防対策の両方の手段を用いてパンデミックを終息させるつもりのようだが、一般市民もワクチン接種が感染予防の決め手になると考えているようだ。私自身も感染予防効果が期待できると考えている。
「新潟市ワクチン配送センター」から支給されているワクチンは受領してから5日以内(30日以内に変更:6月1日現在)に使用する必要があり、しかも1バイアルが6人分で、添付されている生理食塩水で希釈してから6時間以内に使用しなければならないので、接種スケジュールや予約の受付には細心の注意が求められる。配送の申し込みやワクチンの受領にもルールがあるし、接種後にはVRSへの登録が義務付けられており、慣れない仕事に手を焼いている状況である。
5月31日午後8時現在では国内での感染確認は75万件弱で死者は1万3079人である。人口1万人当たり60人強の感染確認があり、そのうちの1人が死亡していることになる。いつ誰が感染してもおかしくない状況の中で幸いにも私自身や家族、通院患者からは感染者が出ていないが、ただ単に運がよかったのではなく、新型コロナウイルス感染症と懸命に闘っている多くの関係者のおかげであると考えている。
ワクチンの個別接種については煩雑な面が多々あるのは事実であるが、開業医ならば誰でもが参加できるコロナ対策であり、対面型のサービスや人の移動に厳しい制限が設けられている現在の状況を「終息」させるために、微力ながらもお役にたちたいと考えている日々である。
(令和3年6月号)