キラキラネームに歯止めをかけようと、政府は2024年に戸籍法を改正するという。今回の改正は行政のデジタル化に合わせたものだ。戸籍の「読みがな問題」が取り沙汰されたのは、新型コロナの感染拡大に伴う定額給付金10万円の支給が大幅に遅れたことだった。
キラキラネームが流行りだしたのは1990年代の中頃である。ベネッセコーポレーションが発行する雑誌『たまごクラブ』が、新しいセンスで名前をつけよう提案し、個性的な名前を紹介してからである。まったく余計な企画を組んでくれたものだ。
新しい戸籍法では出生届時に読み方も書くことが必須となる。キラキラネームなどの漢字本来と異なる読み方は、氏名として用いる文字の読み方として一般に認められているものとしている。
「海(マリン)」が認められるのはすでに1000人ほどがこの名前であることと、アニメやゲームでは一般化しているからだという。「星(ヒカル)」も同じ理由で認められる。しかし「太郎(マイケル)」「高(ヒクシ)」は却下される。「悪魔(アクマ)」は反社会的だから不可だ。これらはわかり易い例なので是非に納得がいくが、決めかねるケースも出てくるだろう。
テレビのクイズ番組でお馴染みの「四月一日(ワタヌキ)」や「小鳥遊(タカナシ)」は、使われ出した当時はキラキラだったが、今は苗字として通用している。だから奇抜なキラキラネームも認めるべきだとする学者の意見があるという。いずれにしても、公序良俗に反しないという万能な言葉で制約がかけられるだろう。
すでに戸籍を持っている人は読み方を届け出ることになる。届け出がない場合は、住民票に記載された情報などをもとに、読みがなを市区町村長の権限で記載することになる。その読みがなは事前に本人に通知され、本人がその読み方を望まない場合は1度だけ変更できる。
一見強引な法改正に思えるが、マイナンバーカードの普及では、目の前に人参をぶら下げてやっとなんとかなりつつあるのが現状である。行政が強引に動いてでもデジタル化を世界基準に是正していくことが必要である。
(浅井 忍 記)