熊谷 敬一
2024年は大地震、航空機事故という衝撃的な年明けであった。ウクライナ、パレスチナの軍事紛争は現在も継続している。今年はどんな年になるのだろうか。最も懸念されるのは地球温暖化の影響がどのように及ぼされるかだろう。昨年の夏は、猛暑、豪雨が顕著であった。国連のグテーレス事務総長は地球沸騰化と述べた。気候変動がはっきりと目に見える形でわれらの前に姿を現してきた。2023年は産業革命前と比べて平均気温が1.5度上昇した。すでに、後戻りできないポイントを超えている事象もあるといわれている。つまり、自然のメカニズムによるネガティブフィードバックはもう見込めないということであり、人間でいえば非代償期になるということである。安部公房の小説の題名にもなった『第四間氷期』とは、約10,000年前に最終氷期が終了し、次の氷期が始まる前の現在のことを指す言葉である。その前提となる将来の寒冷な気候はもはや現れることはないということである。
しかし、このままでいいとは決していえない。人間活動が引き起こしたことなのだから、社会全体が責任をもって対処する必要があり、温暖化対策を進めていかなければならない。COP28が昨年ドバイで開催されたということは、化石燃料の使用を制限しなければならないことを産油国も了承をしたということである。また、世界の自動車産業はガソリンエンジン車を終売とし、電気自動車へ切り替えが進んでいる。代替燃料の開発も行われている。二酸化炭素の回収技術も重要であり、特に大気中から直接回収する技術は根本的な解決策となる可能性を秘めている。一方でわれら個人は何をすべきかということについては、温暖化の問題を常に意識し続けることが最も大事であるといわれている。日々の生活で、例えば何らかの商品の購入にあたり温暖化への影響が少なくなるような選択をすることができる。
地球の隣の惑星である金星は、かつて地球とほぼ同様の組成であり岩石と水の惑星だったという。それが何らかの原因で温暖化が進行し水の喪失が生じてしまった。そのため、二酸化炭素の厚い大気に覆われた地表では温度が460℃である。地球の金星化が将来起きることは避けなければならない。
(令和6年1月号)