藤澤 正宏
今年、東京2025 世界陸上が開催されました。1991年の東京大会、2007年の大阪大会以来の3回目となる日本開催で、東京が舞台となるのは、実に34年ぶりとなります。
織田裕二さんが2年ぶりにメインパーソナリティに復帰し、期待が高まった世界陸上だけに、9日間の入場者数は約62万人となり、前々回の東京大会の約58万人をうわまった結果となりました。本当に素晴らしい戦いを観させていただきました。
感動した種目について少しご紹介したいと思います。まずは男子110メートルハードルの村竹ラシッド選手です。男子は1メートルを超える高さ(正確には106.7cm)のハードル10本を全速で駆け抜けながら跳んでいくという競技であります。これまでの日本のハードル競技は世界と戦うのは難しいと言われていました。しかし、関係者の皆様の努力で、世界レベルで戦えるまでにレベルを向上させてきました。その集大成とも言える世界陸上ハードル!
その中でも、村竹ラシッド選手の決勝戦は、手に汗握る、まさに固唾をのむ戦いでした。残念ながら、0.06秒差の5位にて入賞は果たしたもののメダルは逃す結果となりました。試合後のコメントでは、「今日までメダルを取るために必死に練習してきた。自分なりに準備はしてきたつもりだが、何が足りなかったんだろう。何が今まで間違っていたんだろう」と・・・・。涙ながらに声を詰まらせました。本気で準備をして、必死に戦った結果だからこそ、偽りない気持ちや態度に対して周りは感動を覚えますし、私ももらい泣きしてしまいました。成長に終わりはなく、満足した時点で衰退が始まってしまいます。村竹ラシッド選手は、きっと次はメダルを手にして、さらに感動を与えてくれると私は信じています。
スポーツ選手は本当にストイックです。どれだけの努力を続けて選手達はこの大会に臨んでいたのでしょうか? Mrs. GREEN APPLEの曲の一節にもあるように、「♫僕らは知っている 奇跡は死んでいる 努力も 孤独も 報われない事がある だけどね それでもね 今日まで歩いてきた 日々を人は呼ぶ それがね、軌跡だと」
努力が全て結果に結びつくことはないでしょう。しかし、私達は奇跡を信じ、その軌跡を思うからこそ、これだけの感動を与えられるのだろうと思いました。そして、スポーツを通じて養われる素晴らしい人間性の構築! それこそが、まさにスポーツの醍醐味、魅力だと感じました。
“世界陸上の感動を本当にありがとう!!”
(令和7年11月号)