大橋 美奈子
夏休みが終わり、健康的に日焼けした子ども達の元気な声が校舎に響いています。その中に、夏休みの間に極端に痩せてしまった子どもが存在するのをご存じでしょうか。この子どもがお腹一杯に食べられる唯一の食事は、学校給食なのです。
厚生労働省が行った国民生活基礎調査(2025年)によれば、日本の子どもの貧困率は11.0%であり、9人に1人の割合となっています。ここでいう貧困とは絶対的貧困ではなく、社会の標準的な生活水準と比較して著しく低い状態である相対的貧困のことを指しています。世界有数の豊かな国である日本で、子どもの貧困が問題になっているのです。
日本の子どもの貧困は、路上生活や極端な栄養失調として現れるものではありません。彼らは一見普通に見えるため、周囲からは分かりにくいとされています。その一見普通の生活とはどのようなものなのでしょう。たとえば、交際費を捻出できないので友人をつくりません。学習塾や習い事へも通いません。道具や遠征で出費がかさむ運動部には入りません。スマートフォンを持つ代わりに食費を減らします。そして進学も、はなから無理だと諦めています。
十分な教育の機会を与えられなかった子どもは、就職できたとしても収入に恵まれないことがあり、その結果として貧困は親から子へ、子から孫へと連鎖します。少子化の時代にこの問題を放置すれば深刻な社会的損失となるため、貧困を家庭の責任とするのではなく社会全体で解決する流れになっています。
政府は2015年から「こどもの未来応援国民運動」を展開しています。企業や個人から寄付を募り、学習支援を行う団体、フードバンクやこども食堂、児童養護施設など全国の支援団体の活動資金として提供しています。
新潟市では、2022年に「未来応援奨学金にいがた」が設立されました。私達からの寄付はすべて困窮著しい家庭、生活保護家庭、養護児童施設出身の子どもが進学する際に奨学金として使われます。生まれ育った環境によって子ども達の未来が閉ざされないよう、この支援の輪が広がることを切に願います。
(令和8年9月号)