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新潟市医師会報より

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子どもたちのための専門医療施設を作りたい─未来の子どもと社会のために─

新潟大学大学院医歯学総合研究科 小児科学分野 教授 齋藤 昭彦

今回は、教室の紹介をさせて頂ける貴重な機会を頂いたので、今、我々小児科医が希望していることへの取り組みについて書いてみたい。

それは、子どもたちのための専門医療施設を作ることである。

皆さんは、子どもたちのための専門医療施設、いわゆる「子ども病院」が全国にいくつあるかご存知であろうか? 実は、全国に33施設(図1)あるが、これらの施設を持たない県が24ある。その中で、新潟県は、子どもの数が一番多いという不名誉な位置にいるのである。

私は、子どもの感染症を専門とし、これまで、米国の3つの子ども病院と日本国内で最大規模の子ども病院で仕事をしてきた。子ども病院の存在意義は、とても大きく、子どもの医療を行い、これからの小児科医を育成する上で、絶対に欠かせないものであると信じている。しかしながら、私が2011年夏に新潟に赴任した際、それに共感してくれる人は、極めて限られていた。

なぜ、子どもたちのための専門医療施設が必要なのであろうか。それは、「子どもは、大人の単なるミニチュアではない」からである。当然、そこで提供される医療は、子どものことを第一に考えた医療でなくてはいけない。病気になってしまった子どもたちは、病院に行き、病気のための検査や治療を受けなくてはいけない。そこでは、通常の生活からは程遠い「非日常」の体験の連続であり、多くの我慢や苦痛を伴う。また、入院するとなると、多くの場面で保護者から引き離され、孤独や寂しさを味わう。「非日常」の体験の中で、少しでも、検査や治療が楽に終わり、また、楽しみを感じたり、辛さを忘れることのできる時間があったら、その「非日常」を少しでも忘れることができるかもしれない。子どものための専門医療施設では、子どもと保護者の視線に立った医療が提供されるのが、その原点である。通常の病院の中に、子どものための小さめのベッドや点滴の針を用意するだけでは、その目的は果たせない。そこには、ハードである子どものための建物とソフトである子どもの医療に特化した医療スタッフが必要である。

約6年前、「がんの子どもを守る会」の方々の意見が県に伝わり、県の依頼を受けて、「総合的な小児医療体制のあり方に関する研究会」を大学の中に設立した。そこで我々は、提言をまとめ、県に提出をし、これからの方向性を模索した。2017年2月には、「新潟に子ども病院をつくる会」から約53,000名の署名が県に提出されたが、その後、知事の相次ぐ交代などもあり、なかなか事が進まなかった。

しかしながらである。この半年くらいで、その風向きが徐々に変わりつつある。

まずは、2018年の秋に、国内の子どものがん拠点病院の選定に立候補した際、現在、新潟県の小児医療に足りないものが何かを再確認し、それを今後、補おうという動きが出てきたことである。残念ながら、子どもたちのための専門医療施設がないことをはじめ、足りないものは多く、その選定には落選した。しかしながら、その中で、子どもの視線で医療を行う上で重要なチャイルド・ライフ・スペシャリストの雇用を県が支援してくれることとなった。これは、米国の資格であり、国内でもその資格を持った方の数は極めて限られているが、幸いにも、2019年7月から、新潟出身の資格保持者が大学病院で活躍していただける予定である。

また、入院中の子どもの保護者のための宿泊施設の整備がされていないことも課題の一つであった。この解決策として、「ロナルド・マクドナルド財団」の支援と新潟大学のご協力を頂き、大学の敷地内に、マクドナルドハウスを建築することが内定している。マクドナルドハウス(図2)とは、国内の11の子ども病院に併設されている、保護者の方が安価で安心して宿泊できる施設である。これまでは、病院内でのベッドでの添い寝や、近くのビジネスホテルで、その日、その日をしのいでいた保護者の方々が、病院のすぐそばで宿泊することが可能になる。

これからの大きな課題は、子どもたちのための専門医療施設の建設であろう。小児の専門家が少ない本県の実情を考えると、大学病院に併設し、大学のスタッフが併任する形が望ましい。理想は、24時間、365日、全ての、どの様な医療が必要な子どもたちにも門戸が開かれている施設である。また、今後、重要性が増す医学的、社会的に問題をもつ児を包括的に長期にケアできると同時に、保護者が児に寄り添う際に、快適な環境を提供できなくてはいけない。
一方で、子どもたちのための専門医療施設は、子どもと保護者だけでなく、これからの小児医療を支える小児の専門職のための施設でなくてはいけない。この施設には、各領域の専門家が揃い、また、稀であるが、専門家が診るべき症例が集まらなくてはいけない。また、それによって、学生や若手医師、専門家の育成が可能となる。

今後、これらの課題を解決するためには、「未来の子どもと社会のために」我々は仕事をしているのだという強い信念をもって、様々な方面からの活動を続けていきたいと考えている。
当面は、前述したマクドナルドハウス建設のための寄付活動が必要で、市医師会の先生方におかれましては、この建設にご理解を頂き、ご寄付やボランティア活動などにご協力を頂けると幸いである。

図1 全国にある子ども病院(協議会登録施設)
全国で33施設

図2 せたがやマクドナルドハウス
病院に入院する子どもと保護者、同胞のための施設であり、多くの工夫された空間が整っている

 (令和元年7月号)

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