勝井 丈美
昨年の秋、東京の友人が東京ぶらぶら散歩をしようと誘ってくれて、私が行ったことのない人気スポットへ連れて行ってもらった。音羽の通称、鳩山御殿、谷中の朝倉文夫彫塑館、谷中銀座、駒込の六義園、そして巣鴨地蔵通り商店街を2日がかりで回った。ちなみに鳩山家の基盤を築いた鳩山和夫、春子夫妻の銅像製作者が朝倉文夫氏だ。
私が最も興味深かったのが、「おばあちゃんの原宿」こと巣鴨地蔵通り商店街だった。近頃、衰退が目立つ古町商店街と一体、何が違うのか、商店街を歩いてみて目からウロコだった。高齢者が思わず入りたくなる、気取らないが適度にオシャレな衣料品店や靴店、高齢者が好みそうな和風カフェやお菓子屋が目を引く。激安でないが、高齢者が買い易い価格設定で、ついついもう一つと買ってしまう。とにかく品揃えが豊富で、腰の屈曲した人用に後ろ側の股上が深くなっているズボンもあるようだ。私と友人は超軽量のショートブーツを購入。もちろん、巣鴨名物、元気の出る赤パンツも。
商店街中ほどに通称「トゲ抜き地蔵尊」(正式名称は高岩寺)があり、人々は心に刺さったトゲが抜けますようにと手を合わせ祈る。寺の境内がベンチのある広場で、ちょうど菊祭りが開催されていて、なごみと交流の空間になっていた。この商店街にはアミューズメントと祈りの場がうまく共存している魅力がある。
私は新潟の町を元気にするカギは高齢者のアミューズメントにあると常々思っている。もし、古町商店街が巣鴨のように変われたら、商業の活性化に加え、介護予防、孤立化予防と一石三鳥ではないだろうか。