伊藤 久彰
私は生まれてから、畳に布団で寝てきた。勿論、ホテルに泊まる時は例外であるが。しかし、最近は私も年を取りベッドに寝たいと思うようになった。ベッドは朝起きるのが楽であるし、布団をたたまなくても良い。ではベッドをどこから手に入れるかである。自宅の二階には子供が残して行ったベッドがあるし、医院の二階には入院患者用のベッドがある。それをどのようにして、自宅の寝室に運ぶかが問題である。他人の手を借りるには、我が家は妻が老人ホームに入所して以来、ゴミ屋敷になっているので、他人に寝室を見せるのは恥ずかしい。また新しいベッドを購入するのも古いベッドがあるので、もったいない気がする。そしてぐずぐずと考えて何年も経過した。そして今年のお盆にめずらしく私の長女がゴミ屋敷の片付けに来てくれた。でも、たった一泊では、自宅の居間の一部しか片付けられなかった。その時にベッドの話をした。長女は自宅二階の昔の子供部屋に行ってベッドを見た。私はそれまで、何度もベッドを眺めたが、それ以上はしなかった。でも長女はベッドのまずマットレスをはずしてみた。その下は木の枠がただ置いてあるだけであった。さて、それからが問題である。そのままでは階段を通過できないし、ドライバーか何かで分解出来ないか、長女が考えてくれたが無理であった。長女はゴミ整理の時間も無いので、ベッドを下ろすのは諦めて帰った。翌日、私は二階のベッドをいろいろと動かしてみた。すると、なんと両側の枠はただ嵌め込んであるだけで、道具は無しで簡単に外れた。何年も考えていたベッドを突然、簡単に寝室に設置することが出来た。更に長女からメールが来て「床頭台を使って目覚まし時計や電話を載せたら」と。そうだ、医院の二階に床頭台が余っている。これを使うことにした。これで、長年の懸案が解決した。