戸枝 哲郎
時々、四季の草花を鑑賞しに新津の県立植物園に出かける。昼食のパンを持参し、植物園の前にある大きな池で泳いでいる真鯉にそれを与えるのが楽しみであった。パンを池の中に投げるとかなりの数の真鯉が集まってきて大きな口でパクリ、パクリと食べてしまう。しかし数年前に「鯉に餌をやらないで下さい」という看板が立ってしまい、餌付けができなくなった。残念。今は道の駅「阿賀の里」へ出かけたときに鯉の餌付けをやっている。小さな池の前に無人販売所があり、餌を手にいれて池の中央に投げてやると十数匹の大きな真鯉が集まってくる。岸辺に投げるとたくさんの小さな稚魚が必死になって餌をつついてくる。早く大きくなれと思いながら、なるべく岸辺に投げることにしている。
真冬に、お幕場森林公園の大池に車を止めたとき、白鳥とカモが近づいてくるのを見て、餌付けされているのを発見した。近くのコンビニで食パンを買い求め白鳥に与えていると、小さなカモが私の足をつついて自分にも餌をくれと見上げている。白鳥のほかに色々な種類のカモを間近で観察することができる。三年前に鳥インフルエンザが流行した時は、餌付け禁止になっていたが今は解除されている。
笹川流れの遊覧船に乗ったときカモメの餌付けがされており、その餌がカッパエビセンであるのを初めて知った。遊覧船を追いかけて、乗客の持っているエビセンを嘴でつまんで飛び去っていく。笹川流れへドライブに出かけるときは、カッパエビセンを持っていくようにしている。弁天岩に居る数羽のカモメにエビセンを投げ与えていると、どこからともなく五十羽以上のカモメが集まってくる。エビセンを手に持って空高く掲げると、視力の良いカモメは餌のみを口にくわえて舞い上がる。カモメが空中で乱舞する様子はヒッチコックの映画「鳥」を思いださせるほど迫力がある。
生物に餌付けをすると気分が落ち着き、癒されるのはなぜだろう。
(平成31年5月号)