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新潟市医師会報より

新潟市医師会

あの時、私は…(新潟地震の記憶)─後編─

阿部 志郎

その時、水に浸った玄関から人の声がした。夕刻の薄暗い中、聞きなれた声の主は道路を挟んで向いに建築事務所を置く所長さんだった。以前、建築をお願いした縁で馴染みになり、仕事の休憩時間に立寄るお茶飲み仲間的存在だった。

ニュースで避難勧告を知り、彼の実家・新発田市を避難地とすべく迎えに来たと言う。家を放置し、タンク炎上で夕焼けの様な夜空を背に国道を新発田市へ車で逃走した。

約30キロ離れた新発田市は別天地だった。

地震の影響もなく、普通の生活をしている新発田市の人達は温かく私達を迎えてくれた。ふわふわの布団で放置してきた家を気にしながらも、いつしか眠りに就いていた。翌朝のニュースは、石油タンク火災による塩化メチル水銀への延焼を免れたと報じた。昼に自宅へ戻る。無傷な家の姿に安堵の気持ちが沸き、大きな山場を越えたと思った。翌日、今期岐阜大学の医学生となった兄が同級生2人と一緒に救援物資を持参し訪れた。全国ニュースに報じられていたより、我が家の被害は少なかったと安堵した様子だった。“信濃川に架かる昭和大橋の橋桁が落下、その先に石油タンクの黒煙”の写真は、コンビナート地震災害の象徴的画像として新潟地震をアピールしたのは必定だと思う。

この頃、定期的に給水車が配備され救援の手が届きはじめた。更に、チューリップパン亀田工場からパンの配給も開始された。父は診療所で診察が出来ない予期せぬ夏休みに、内心喜びを隠しえない様子だった。昼には、水に浸った道路をガラパン姿で出歩いていた。その姿を市医師会職員の方に目撃され、同情のお見舞いを些か多く頂戴したとか…。後ほど、母は気まずそうな顔をしてこのエピソードを話してくれた。やがて自衛隊が町内に姿を現した。迷彩服できびきびと作業する人達が眩く見えた。自衛隊は戦時ではなく、身近かな災害のために存在意義があると確信した。裏の通船川の決壊した堤防を、自衛隊の懸命な復旧作業により2日で修復を終えた。堤防上のポンプが一斉に排水を開始し、24時間で道路から水が引き路面が露出した。わが家より一直線に伸びる道路を港方向に眺めると、約1キロ先はまだ水没していた。これは現地点が視覚的に判らない程の緩い坂の上を意味している。神の御加護と思った。登校出来る日が来た。先日に自衛隊が修復した裏の通船川の堤防が船着場となっていた。自衛隊の上陸艇が渡し船。皆立ったまま船底に降り、隙間から周囲の景色を眺めた。通船川から信濃川の河口に出て上流へ遡り、左岸・西新潟の万代橋の袂に接岸する。途中の景色を水上から眺めると、破壊された港の堤防など地震の被害がよく判る。12日目に石油タンクの火災は鎮火し黒煙が消えた。

マスコミは地震で被害のなかった松波町・金衛町の写真を伝えて復興をアピールした。この地域は砂丘上で地震直後から被害はなかったと聞いている。マスコミは被害甚大さのアピールに港湾地域・山の下地区を報じ、復興のアピールには被害のない松波・金衛町地域を報道する。その手法は復興を強調するとはいえ、違和感を抱いてしまった。

 (平成31年5月号)

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