勝井 豊
今年は梅雨明けの後に10日間以上に亘って記録的な猛暑が続いた。熱中症で救急搬送される人も多数いたとのことであるが、花壇の草花や庭木も夕方になるとすっかり萎れてしまうので、朝夕の水やりに努めたつもりであった。そんななかで元気だったのが庭の2本のキウイフルーツであったが、日照りが1週間以上続いたら夕方になると葉が萎れるようになったので、朝夕にせっせと水やりを始めた。
しかし既に手遅れだったようで、水やりをしていても昼過ぎには葉が萎れるようになり、やがて葉の先が黄色に変色し始めるようになり、葉全体が黄色になったものは、1枚また1枚と地面に落ちてしまい半分以上が落葉してしまった。木にとって葉は光合成によって養分を作り出すための大切な働きをしており、このままでは枯れてしまうのではないかと心配になってきた。
その後熱波はやや収まり恵みの雨も降るようになり、生き残った葉は元気を取り戻してきた。そして何と落葉した葉の付け根の部分から、元の葉よりは小振りであるが新しい葉が再生してきた。いつもは5月の中旬に見られるキウイフルーツの芽吹きを真夏に見ることになったが、植物のもっている生命力のたくましさを、しみじみと感じさせられた。
ところで企業等が経営不振に陥り、リストラによって生き返ることも、しばしばあるようだが、何となくキウイフルーツの場合に似ているような気がしないでもない。高齢者の増加により現在の年金制度の見直しが必要になると政府は言い始めているようだが、信頼という名の葉を落として妥協という葉を再生させて年金制度の生き返りを果たそうとしているのならば、国民の信頼を裏切ることになるのではないだろうか。