新潟市医師会

新潟市医師会報より

起死回生感謝母校醫療　起死回生　母校の医療に感謝

張　逹聰

其一
血尿根源六載前
求醫泌尿器科專
膀胱癌三開刀過驚看右腎盂同連

血尿（けつにょう）の根源六載（こんげんろくさい）の前
医（い）を求（もと）め泌尿器科（ひにょうきか）専（ひたす）ら
膀胱癌（ぼうこうがん）三回（さんかい）開刀（かいとう）過（す）ぎ
驚（き）き見（み）る右（う）腎（じん）盂（う）同（どう）病（びょう）連（つら）なる

其二
高齢化療開刀難
放射線知無効殘
免疫藥新無健保
只能經過自然看

高齢（こうれい）のため化療（かりょう）と開刀（かいとう）難（むずか）し
放射線（ほうしゃせん）は無効（むこう）を知（し）り殘（むご）い
免疫薬（めんえきやく）新（あたら）しいが健保（けんぽ）無（な）し
只（ただ）能（よ）くは自然（しぜん）の経過（けいか）を看（み）る

其三
血尿經時斷賡連
自知惡化漸年年
消磨體力身心礙
渡日空虚夜不眠

血尿（けつにょう）時（とき）を経（へ）て断続（だんぞく）に連（つら）なり
自（おのず）と知（し）る年年（ねんねん）漸（だんだん）惡化（あくか）するを
体力（たいりょく）の消磨（しょうもう）で身心（しんしん）を礙（がい）し
日（ひ）をすぎる事（こと）空虚（くうきょ）夜（よる）眠（ねむ）れず

其四
治癌良法究明中
痛苦非情日日同
異味難吞無食慾
鶏皮鶴膝瘦疲翁

癌治療（がんちりょう）の良法（りょうほう）は究明（きゅうめい）の中（うち）
苦痛（くつう）と非情（ひじょう）日日（ひび）に同（おな）じ
異味（いみ）で呑（の）みこみ難（がた）く食欲無（しょくよくなし）
鶏皮鶴膝（けいひかくしつ）　瘦疲（そうひ）の翁（おきな）

其五
深居簡出避逢人
漸少知音孤獨辛
日薄西山無可奈
撫今追昔感懷頻

深居（しんきょ）簡出（かんしゅつ）人（ひと）に逢（あ）うを避（さ）ける
知音漸少（ちいんざんしょう）　孤独（こどく）に辛（つら）く
日薄西山（にちはくせいざん）　無可奈（いかんとも）すべなく
撫今追昔（ぶこんついせき）すれば感懐（かんらい）頻（しき）り

其六
四月中旬血尿連
引來貧血混迷眠
求醫救急施輸血
覺醒偷生幸命牽

四月（しがつ）中旬（ちゅうじゅん）から血尿（けつにょう）連（つら）なる
引（ひ）き来（き）たり貧血（ひんけつ）混迷（こんめい）し眠（ねむ）る
医（い）を求（もと）め救急（きゅうきゅう）に輸血（ゆけつ）を施（ほどこ）し
覚醒（かくせい）し幸（さいわ）いに偷生（とうせい）命（いのち）牽（つら）なる

其七
母校求醫惠萬千
精英國手技新全
開刀絕妙回春術
割斷癌根右腎憐

母校（ぼこう）に医（い）を求（もと）め万千（まんせん）の恵（めぐ）み
精英（せいえい）の国手（こくしゅ）　技（わざ）全（すべ）て新（あたら）しく
絕妙（ぜつみょう）の開刀（かいとう）　回春（かいしゅん）の術（じゅつ）
癌根（がんこん）を割断（かつだん）せし右腎（うじん）憐（あわ）れ

其八
泌尿專科研究精
資深教授導英明
向前進歩毋停止
遵守協同嚴實行

泌尿器（ひにょうき）専門科（せんもんか）研究（けんきゅう）に精励（せいれい）
資深（ししん）の教授（きょうじゅ）が英明（えいめい）に導（みちび）く
前向（まえむき）進歩（しんぽ）し停止（ていし）する事（こと）毋（なか）れ
遵守（じゅんしゅ）し協同（きょうどう）して厳（げん）に実行（じっこう）実行

其九
青壯熱誠醫療團
協同主治得心安
華侘妙手開刀術
順利進行排萬難

青壮（せいそう）にして熱誠（ねっせい）の医療団（いりょうだん）
協同主治（チームいりょう）に安心（あんしん）を得（え）る
華侘（かだ）の妙手（みょうしゅ）の開刀術（かいとうじゅつ）
順調（じゅんちょう）に進行（しんこう）し万難（ばんなん）を排（はい）す

其十
感謝女男看護師
專誠協助萬全醫
病魔根治能康復
起死回生心自怡

男女（だんじょ）の看護師（かんごし）に感謝（かんしゃ）
万全（ばんぜん）の医療（いりょう）に専誠協助（せんせいきょうじょ）し
病魔（びょうま）根治（こんじ）に能（よ）く健康（けんこう）を回復（かいふく）
起死回生（きしかいせい）し心（こころ）自（おのず）と怡（よろこび）なごむ

※冨田教授の訓示：医師の役割は、立ち止まらずに進歩し続けること。
※（註）
六載：六年。
開刀：外科的手術。
化療：化学療法。
免疫薬：オブジーボを指す。
健保：健康保険。
鶏皮鶴膝：老衰の病人の皮膚と下肢の骨と皮の形容。
知音：知己、知交。
日薄西山：病衰し、終活の近いたとえ。
国手：名医を賞賛のことば。
資深：経歴と資格に富む。
華侘：中国東漢時代の外科神医。手術して下さった医師団の齋藤先生、田崎先生、池田先生、乾先生、安楽先生、白野先生をいう。
康復：健康回復。

（令和元年11月号）

新潟市医師会報より

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