石井 史郎
令和と改元されて最初の新潟市医師会ゴルフ大会は令和元年10月22日(火)、新発田市の紫雲ゴルフ倶楽部飯豊コースにて開催されました。この日は天皇陛下即位礼正殿の儀が執り行われた日であり、特別な国民の祝日でした。当初この日が休日になるとは認識しておらず、クリニックに急遽休診の看板を貼り出しての参加でした。この原稿を書いている11月10日は皇居から赤坂御所までの約2.4kmを祝賀御列の儀(祝賀パレード)がおこなわれています。
思えば、日本が世界に誇る天皇制であり、紀元前660年の神武天皇から約2600年間、日本の文化伝統を途絶えさせる事なく万世一系を維持してきた皇室の歴史は長く、かつ男系男子(Y遺伝子)を引き継いできた史実は驚くべき事に感じます。第124代裕仁天皇(昭和天皇)がゴルフ好きであり、新宿御苑には皇室専用のゴルフ場があった事も多くのゴルファー達が知るところです。「ゴルフは運動として最も適切なものである。それには心を鎮め、精神を纏(まと)める効果があり、禅に虚無という言葉あり、その意味に近きものではないかと考える。」と述べておられます。では、何故そのように高潔にして哲学性の高いスポーツを止めてしまわれたのか?その答えは『昭和天皇のゴルフ』(田代靖尚書、主婦の友社)に書かれていますので、興味ある方はご参照ください。
さて、当日は関東東北の太平洋側に甚大な被害をもたらした台風19号のすぐ後に発生した台風20号が温帯低気圧となって新潟県に近づき、冷たい雨が降り、時折風の吹く良好とは言えないコンディションでした。
総勢18名の先生が参加されました。私は同じ婦人科の同伴競技者の先生方に恵まれ、ハンデにも恵まれて優勝させていただきました。感謝いたします。準優勝は婦人科の広橋武先生でした。4位水平賞にはこれまた同じ婦人科の本多晃先生が入賞しました。9位にはベストグロス91点で、耳鼻咽喉科の寺久保洋次先生が、10位当月賞には前回優勝の同じく耳鼻咽喉科の勝見右先生が入賞されました。外科の富山武美先生は午前・午後で16打も縮め、大波賞を獲得されました。皆様お疲れ様でした。
50歳を過ぎて健康のために始めたゴルフです。「一芸10年」といいますが、12年程経過してもなかなか腕前は上達しません。私の所属している抗加齢医学会(来年新潟で総会が開催されます)では、「いくつになっても骨や筋肉の健康を保ち、移動がスムースにできて知的な事に従事する事が健康長寿の秘訣である。」と言っています。ゴルフなどはそれを実践する最良のスポーツではないかと考えています。
2018年の簡易生命表によれば、日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳で女性は香港に次いで4年連続世界第2位、男性は香港、スイスに次いで3位です。しかし、介護を必要としない健康寿命を寿命から引いた不健康期間は、男性8.84年、女性12.35年と長く、介護される側、介護する側双方にとって大きな負担を強いられます。
学生の講義では「25歳はお肌の曲がり角、50歳はお骨(おほね)の曲がり角、75歳はお肉とお頭(おつむ)の曲がり角」のスライドでアイキャッチしてから女性の美容、骨粗鬆症、サルコペニア(筋肉減少症)、認知症の話に入ります。サルコペニアやフレイル(虚弱)の指標としては、握力女性18kg以下、男性26kg以下、歩行速度は0.8m/秒以下で注意が必要との事です。私がメンバーのゴルフ場に「ゴルフをやって認知症を予防しよう!」などと書かれたポスターが貼ってありましたが、あながち嘘でもなさそうです。クラブを握る握力、コースを歩く脚力、自分や同伴競技者の打数に間違いが無いかしっかりと覚えておく短期記憶力、スコアを提出する際の計算力、すべて健康長寿に必須の様に思われます。
ちなみに「25歳…」は昭和38年、化粧品マダムジュジュの広告キャッチコピーであり、児童文学作家森山京(みやこ)さんの作で、私のアイデアではありません。今の学生は誰も知りません。この頃は女性の平均初婚年齢が24.5歳であり、25歳までに第1子を出産する女性が大多数であったとの事で今とは隔世の感があります。
以下に十傑の成績を示します。第92回春季大会は令和2年4月26日(日)に予定しております。ご参加の程よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
(令和元年12月号)