小澤 由美
令和初となる新潟市医師会総会が、令和元年11月30日(土)15時30分から新潟東映ホテル2F朱鷺の間にて開催され、今年の出席者は125名でした。つたない文章で恐縮ですが、初参加の私の目から見た当日の様子を伝えさせていただきます。
【第54回新潟市医師会臨床懇話会総会】
進行役の総務担当橋本謹也理事の開会宣言、藤田一隆新潟市医師会会長による開会挨拶に続き、今年は新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器内科学教授 南野徹先生から「老化から見た生活習慣病の治療戦略」と題した、ご講演をいただきました。老化という避けては通れない難題にどう立ち向かっていけばいいのか、興味深く拝聴させていただきました。
*最近の診療実績*
南野先生は今年度より新潟大学医歯学総合病院の副病院長を兼任されている観点から、講演の冒頭には、新潟大学の生き残りをかけた経営戦略についても具体的な数字をあげながらお話下さいました。現在、大学の収入の約半分を医学部(病院)に頼っており、病院が潰れれば大学が潰れるのが現状です。今後、いかに病院の収入を上げていくかが大学生き残りのファクターとなります。
南野先生が就任して7年が経過し、大学循環器内科では年間の入院患者数が2倍、その分在院日数は半分になりカテーテルによる冠動脈形成術は4倍、不整脈治療としてのカテーテルアブレーションが3倍と診療実績は飛躍的に増えました。さらには新規医療技術としては、肥大型心筋症に対するカテーテル心筋焼灼術(PTSMA)、慢性血栓塞栓性肺高血圧に対する肺動脈バルーン拡張術(BPA)、重症下肢虚血症例に対する細胞移植による血管新生治療、重症心不全症例に対する補助人工心臓などが紹介されました。
さらには今年度中には新しくハイブリッド手術室が完成し、大動脈弁狭窄症に対するカテーテルによる弁置換術(TAVI)も可能になることと、すでに行われている僧帽弁閉鎖不全に対するカテーテル治療(Mitraclip)について、具体的な映像やわかりやすいイラストを交えてお話されました。
これら新規医療技術の積極的な導入により、現在の循環器領域における最新医療のほとんど全てが新潟で出来るようになり、新潟県内で出来ないのは心臓移植のみだそうです。
一方、最新の臨床研究の業績としては心室細動に対するアブレーション治療への取り組みやSGLT2阻害薬を用いた特定臨床研究をはじめとする介入研究を盛んに行っている事が紹介されました。
*老化研究*
また講演の後半には、南野先生のライフワークである老化研究について解説していただきました。
細胞が老化するとp53、p21といった細胞老化分子が増加します。これを利用して老化細胞を染色することが可能となり、ヒトの動脈硬化巣には老化した血管細胞が存在することが証明されました。加齢や過食などのストレスにより心臓や内臓脂肪に老化細胞が溜まり各種老化関連疾患を引き起こすとされています。それならば、p53、p21といった細胞老化分子を抑制すれば、老化関連疾患を防ぐことができるのではないか。しかし、p53などは癌抑制遺伝子でもあり、これを直接阻害するような抗老化治療では癌化が促進してしまうという問題が出てきます。
そのような中で、老化関連疾患を予防する方法として、最近では老化した細胞を取り除く研究が進められています。老化した細胞を取り除くと寿命が延びること、これをSenolytics治療と呼び、現在までに複数の老化細胞除去薬が世界で報告されています。この方法なら、癌化を増やすことなく老化を抑制しうることが注目すべき点でありました。南野先生の研究チームでもある薬でSenolytics治療の研究を進めているとのことでした。
また老化した細胞に特異的に発現する抗原としてSenescence-associated Glycoprotein(SAGP)を同定することに成功しました。SAGPは欠乏すると老化が早まることから、老化細胞が生存するために必要な抗原であるのではないかと考えられ、SAGPをSenolysis治療のターゲットとして注目しました。その1つとしてSAGP陽性老化細胞除去ワクチンを作製しました。老化細胞除去ワクチンにより、脂肪老化や動脈硬化の改善、高齢マウスのフレイルの改善、早老マウスの寿命も延長することが出来ました。
以上から、老化細胞除去治療は癌化を抑制するため有望な治療法として注目されており、細胞や組織特異的に老化関連因子を同定することによって癌化を促進しない新たな抗老化治療の開発に繋がることを示されました。
【第7回新潟市医師会総会】
橋本理事の開会宣言、藤田会長の開会の挨拶のあと、代議員会議長の新田幸壽先生、副議長の中島寛先生のもと、21名の物故会員の先生方に黙祷を捧げ弔意を表しました。その後は以下についての報告がなされました。
1)平成30年度一般社団法人新潟市医師会事業報告
橋本理事
2)平成30年度一般社団法人新潟市医師会決算報告
岡田理事
3)新潟市医師会定款及び施行細則の改正について
橋本理事
【令和元年度新潟市医師連盟総会】
新田議長の進行で行われました。藤田医師連盟委員長による挨拶に引き続き、橋本理事から平成30年度新潟市医師連盟事業報告、岡田理事から決算報告、熊谷監事から監査報告が、それぞれ行われました。
【第7回新潟市医師会総会セレモニー】
橋本理事の開会宣言、藤田会長の開会の挨拶がありました。その後、ご来賓の皆様方より祝辞を賜りました。
来賓祝辞
新潟大学医学部長 染矢 俊幸 様
新潟県医師会長 渡部 透 様
衆議院議員 細田 健一 様
衆議院議員 鷲尾英一郎 様
新潟大学学長 髙橋 姿 様
来賓紹介
衆議院議員 西村ちなみ 様
衆議院議員 黒岩 宇洋 様
(代理 桑野正行様)
衆議院議員 斎藤 洋明 様
(代理 森本将司様)
参議院議員 森 ゆうこ 様
(代理 廣川信之様)
祝電披露
参議院議員 森 ゆうこ 様
参議院議員 打越さくら 様
功労会員表彰
木村 好行 先生
清水 順也 先生
地域医療研究助成認定書授与
「新潟市における喫煙対策の基盤強化と包括的推進の検討」
新潟大学大学院保健学研究科看護学分野
教授 関 奈緒 先生
「新潟市における子育てソーシャルサポートに関する実証的研究
〜妊娠・出産から青年期に至る包括的相談支援システムの構築に向けて〜」
新潟県立大学人間生活学部子ども学科
教授 小池 由佳 先生
「新潟市在住高齢者の平衡機能とフレイルの多面的な調査および改善に向けた効果的な介入点の解明」
新潟大学大学院医歯学総合研究科機能再建医学講座 整形外科学
新潟万代病院リハビリテーション科
理学療法士 本間 大介 先生
長寿会員慶祝
白寿 1名 米寿 9名 喜寿 16名
米寿会員 惠 京仔 先生
大澤 源吾 先生
小山 眞 先生
志賀 弘司 先生
喜寿会員 佐藤 幸示 先生
鈴木 正司 先生
山本 正治 先生
以上の先生方が藤田会長より表彰状を授与されました。
福引抽選会
白柏先生、山本先生の司会で豪華景品が当たる抽選会が行われました。
次々に当選された先生方のお名前が呼ばれていました。
景品は以下のとおりです。
1等 全国共通商品券 5万円分1本
2等 全国共通商品券 3万円分2本
3等 加島屋味覚セット3本
東映ホテル賞
東映ホテル食事券 1万円分3本
4等 モエ・ド・シャンドン4本
5等 〆張鶴(金ラベル)20本
6等 ゴディバのチョコレート15本
7等 虎屋の小形羊羹15本
8等 越品プレミアムカレーギフト15本
今回の1等当選者は丸山俊章先生でした。おめでとうございます。
【新潟市医師会忘年会】
抽選会終了後に東映ホテル1F白鳥の間に会場を移し、橋本理事の司会のもと、盛大に忘年会が開催されました。
開会の挨拶
新潟市医師会副会長 永井 明彦 先生
来賓祝辞
新潟市長 中原 八一 様
新潟市議会議長 佐藤 豊美 様
新潟市歯科医師会長 荒井 節男 様
新潟市薬剤師会長 國井 洋子 様
衆議院議員 西村ちなみ 様
衆議院議員 菊田まきこ 様
乾杯
新潟市医師会代議員会議長 新田 幸壽 先生
来賓紹介
新潟大学医学部長 染矢 俊幸 様
新潟県医師会長 渡部 透 様
参議院議員 森 ゆうこ 様
(代理 廣川信之様)
新潟市保健衛生部長 野島 晶子 様
新入会員紹介
おおつかこどもクリニック院長
大塚 岳人 先生
青山内科・眼科クリニック院長
小澤 拓也 先生
木戸病院院長佐藤 秀一 先生
潟東けやき病院院長丸田 智明 先生
米山クリニック消化器内科・内科院長
米山 靖 先生
閉会の挨拶
新潟市医師会副会長 浦野 正美 先生
はじめは硬い雰囲気だった会場もお酒が進むにつれて賑やかな盛り上がりを見せていました。初参加の私は、大先輩だらけの会場にすっかり恐縮してしまい、諸先生方に十分に挨拶もできなかったことを反省しながらも、抽選会で頂いた〆張鶴を大事に抱えて帰路につきました。
南野 徹 教授
藤田 一隆 会長
染矢 俊幸 新潟大学医学部長
渡部 透 新潟県医師会長
細田 健一 衆議院議員
鷲尾英一郎 衆議院議員
髙橋 姿 新潟大学学長
功労会員表彰
地域医療研究助成認定書 授与
米寿会員 恵 京仔 先生
喜寿会員 佐藤 幸示 先生
福引抽選会
天狗展
天狗展
天狗展
開会挨拶 永井 明彦 副会長
中原 八一 新潟市長
佐藤 豊美 新潟市議会議長
荒井 節男 新潟市歯科医師会長
荒井 節男 新潟市歯科医師会長
西村ちなみ 衆議院議員
菊田まきこ 衆議院議員
乾杯 新田 幸壽 代議員会議長
閉会挨拶 浦野 正美 副会長
(令和2年1月号)