大滝 一
出発まで
2018年12月30日(日)から2019年1月3日(木)にかけての年末年始の休みは、通常通りに行けば5日間となり、海外旅行にはちょっと短い感じがありました。そこで、この日数で行くことができるところはどこかと考えてみたところ、東南アジアのベトナム・カンボジアかタイのどちらかということになりました。ベトナムのハロン湾、カンボジアのアンコールワット、タイのアユタヤとバンコク、とどちらもかなり魅力的で迷いました。
最終的には、帰ってからの日程を考慮しタイにしました。羽田出発は12月29日の午前10時35分ということで、28日(金)の午前をもって年内の診療を終わりとし、その日の午後に羽田まで移動しました。
ここでよかったのは、羽田空港第2ターミナルに直結の羽田エクセルホテル東急に宿泊できたことです。国際線ターミナルにモノレールでわずか5分程度と大変助かりました。夜は第2ターミナル5階の居酒屋「黒長兵衛」で食事をしました。明日からはタイ料理と思うとどうしても日本の居酒屋料理が食べたくなったからです。トマトサラダ、串焼き、うなぎの蒲焼に牛すじ煮込み、そして日本酒を堪能させていただきました。
出発とタイ初日
12月29日の午前8時15分に国際線ターミナルに集合。5万円をタイバーツ(当時1バーツが約3円)に両替し、午前10時40分に羽田を発ち、おおよそ6時間半でバンコク スワンナプーム国際空港に着きました(写真1)。時差は2時間でまったく気にならない程度でした。
飛行機を出た瞬間「暑い!」。前日の新潟は最高気温が4℃、当日朝の東京は5℃でしたので、30℃近いバンコクはやはり暑く、かつかなりムシムシしていました。入国審査を済ませロビーに出ると現地ガイドが待っていました。15人以上で催行というツアーでしたのでツアー仲間が待っていると思っていたところ、実際はガイドともう2人だけで、前半は4人のツアーとのことでした。3日目からさらに2人加わり6人となりました。
少人数のツアーはまるでプライベートツアーのようで、小回りが利き、ガイドさんともすぐに仲良くなりました。ツアー仲間が極めて重要で、気の合う方々だと異国の旅は大変楽しいものになります。今回のお二人は、なんと私達と同い年のご夫婦で、私達の次男が大学時代を過ごした金沢から来られたとのことでした。話はいやがおうにも盛り上がりました。
空港から車で約2時間、7番目に世界遺産となったアユタヤに向かいました。現地時間で夕方6時に着き、まずは腹ごしらえです。夏に行った西安と上海の料理がもう一つだった私はちょっと心配でしたが、トムヤンクンもおいしく、ご飯は細長く少々固めでしたがまずまず。SINGHAビールも美味しく、お店は決して格調高いとはいえませんでしたが、料理の味そのものはなかなかでした。
その後、アユタヤ6大遺跡群の一つワット・チャイワタラナームの見学です(写真2)。ライトアップされた中心の寺院はちょっと見、とうもろこしのような感じでした。約400年前の建造だそうで、今までに訪れたヨーロッパや中国、韓国、台湾とはまた違うその造りに、歴史と文化の相違を強く感じました。
その後ホテルに着き、まずはどこに行っても最初にチェックする風呂・シャワーとトイレを点検しました。今まで見たことがなかったのは、トイレに金属製ホースがあり、その先に直径1cmほどのノズルがついていました。ノズルの横にボタンがあり、これを押すと勢いよく水が噴射されました。これが日本でいうウォシュレットで、手動式ウォシュレットといった感じです。ホースが金属製のため日本式に比べると使い勝手は良くありませんでしたが、あるだけでも有難いと思いました。海外ではトイレ事情は厳しいことが多く、日本は最高です。
ホテルにて
疲れもありぐっすり眠り、朝早く目が覚めました。ホテルの裏が川になっていて、そこから聞こえてくる小鳥のさえずりに誘われて散策に出ました。早朝でさわやかなのですが、もうすでに暑く、昼はどうなるだろうと懸念されました。
ホテルに戻り、お土産ショップがあるロビーに行き、「ショップは何時に開くか」と英語で聞いたところ「8時」とフロントの若い女性が英語で答えてくれました。「Thank you」と言ったところ「コップン カー」と両手を合わせてにっこりとお辞儀をしてくれました。この笑顔と所作に、気持ちがほっこりし、それだけで嬉しくなってしまいました。そういえば、タイは「微笑みの国」と言われていたことを思い出し、タイの人は良さそうだな、と感じました。それは、その後に行ったレストランやお土産店、ホテルでも感じ、私も「コップン カップ」だけは覚えました。男性は「コップン カップ」、女性は「コップン カー」と語尾が違いますが、タイに行かれる方はこの言葉だけでも覚えておくと、心地よく旅ができると思います。
タイは微笑みの国であり仏教国としても有名ですが、現地ガイドさんの話だと、タイの若者は全員ある期間出家するとのことでした。そうすることで一人前の男と認められるそうです。仏教国と言われる所以だろうと思いました。
さて朝食ですが、バイキング形式で有難かったです。内容も日本と大きな違いはありませんでした。ただカレーは香辛料が私にはちょっときつかったです。
フライドポテトがあり、それを取ろうとした際に、ポテトを床に落としてしまいました。思わず「フライド・ポテト フライ」と言ったら、私の隣にいた女性(おそらくヨーロッパの人)に凄く受けて、どうもツボに嵌ったようです。「フライド・ポテト フライ」を大笑いしながら何回も繰り返していました。外国人にこんなに受けたことは初めてで、ちょっと嬉しかったです。
本格的な観光一日目(昼の部)
さて今日は、実質二日間しかない本格的な観光の初日です。午前中はアユタヤを中心に見学となります。遺跡群を見て、象乗り体験、夜はバンコクに移動して、いわゆるお〇〇さんたちによるレディーボーイショーもあります。
まずは、アユタヤ6大遺跡群の一つ、ワット・ヤイ・チャイ・モンコンに立ち寄りました(写真3)。仏塔は高さ72mでアユタヤでは2番目に高い仏塔だそうです。写真左側の階段を登り礼拝堂まで登ってきました。階段はかなり急で、下りが怖かったです。たくさんの観光客がいましたが、そのような中、人を全く気にせず営巣している鳩?には驚きました(写真4)。
ついで、菩提樹の根に囲まれた仏頭で有名なワット・プラ・マハタートでワンショットいただいてきました(写真5、6)。写真を撮る際には、神聖な場所であり仏塔より自分の頭が上にならないように撮るのだそうです。ほぼ地べたに座る格好で撮りましたがちょっと際どいところです。仏頭は思ったより小さかったです。
次はアユタヤ最大の寺院、ワット・プラ・シー・サンペットです(写真7)。最初の仏塔はアユタヤの初代の王様が15世紀初めに建立し、15世紀後半には3基の仏塔が建築されたとのことです。独特の仏塔は素晴らしかったのですが、1767年にビルマの侵攻にあい、遺跡の中にある仏像の頭は殆どが持ち去られてしまい、首から上がありませんでした。
さて、いよいよ象乗り体験です。幼いころお爺さんに連れられて、鶴岡に来た出張動物園で象に乗せてもらい、怖くて大泣きした記憶があります。
その前に、象との記念写真をとりました。家内と二人で思いっきりハグしてもらいました(写真8)。最初は正直怖かったですが、優しく包んでくれる感じで安心しました。鼻そのものは柔らかいものの、表面はざらざらでした。
象乗り場は、やぐらを組んであり家の2階ほどの高さから台座に乗りました。高いです。そして揺れます。ほんの15分程度でしたが、こわごわ堪能させていただきました。象に感謝です。
その後にワット・ロカヤ・スターで全長28mの涅槃仏で家族の健康を祈り(写真9)、そのあとの17世紀、24代目のアユタヤ王時代に造られた華美な離宮と人工の池がみごとなバンパイン離宮を観光しました(写真10)。カートで回っていると池に何かいました。かなり大きく、ワニではないかと思いました(写真11)。しかし、タイにワニは聞いたことがありません。ガイドに聞いたところ、それはトカゲだそうで「トカゲを見た人は金持ちになると言われている」とのことでした。私はその後、バンコクへの移動中に道路上にいるトカゲをまたもや見つけることができました。「また見た」と言ったところ、ガイドさんが「それは、きっと大金持ちになるんでしょう!」と笑っていました。どうでしょうかねえ…
観光一日目(夜の部)
さて夜になりました。観光と並んで楽しみなのが、レディーボーイショーとタイ式マッサージです。ショーは巨大ナイトマーケット内にあり、ショーの前にマーケットで買い物をしました。2年前に海外旅行のために買った安い3000円の腕時計がタイに来て壊れてしまい、時計を買いたいと思っていました。そこで、声をかけてもらったお店で時計を見せてもらいました。見せてくれたのはHUBLOTでした(写真12)。50万円とのことでしたが、HUBLOTは普通200~300万円する高級時計ですので値切ってみることにしました。6、7回値切り1万円まできましたので、本物でないことは明らかですが、自分へのタイ旅行記念のお土産として1万円で買いました。さすがに偽物、3時間後には動かなくなり、これには驚きました。今は自宅の小物入れの中に鎮座しています。もう少し値切ればよかったかな…。
いよいよレディボーイショーです。ガイドが、理由は分からないが、タイはニューハーフが非常に多く、世界的にも有名とのことでした。ニューハーフ世界大会がバンコクで開催された、とテレビでも報道されていました。チケットを購入するとワンドリンクが付きます。席は最前列しかなくそこにしましたが、これが良かったです。美しい彼らを間近かに見ることができたからです(写真13)。
正直なところ「ゲイのオチャラケショー」かと思っていましたが、ショー自体の素晴らしさに圧倒されました。言葉などは分かりませんが、1時間40分、飽きることなく、のめりこんでしまいました。これは家内も同じで、家内はタイツアーの中で、このショーが一番よかったとのことです。
しっかりした歌、踊り、コミカルな日本舞踊、しとやかな韓国舞踊など内容は盛りだくさんでした。そして何と言っても皆さん大変お綺麗で、思わず一目ぼれし恋に落ちてしまいそうになりました。中にはまだ男性っぽい方で変身途中の男?女?もおりましたが、本当に素晴らしかったです。ショーの後、チップをはずむと一緒に写真を撮ってくれました(写真14)。その彼女から「コップン カー」と感謝の女性言葉、しかし、その声はまさしく男性の声でした。
ショーを見ていて思ったのですが、足がきれいだったことです。男性と女性の足は見た目が全く違います。筋肉の筋が透けて見える男性に比べ、女性の足は皮下脂肪の関係でソフトに見えます。レディーボーイの皆さんの足はまさしく女性の足でした。ただし、さすがに声までは変えられないようです。
ということで、大満足のレディボーイショーでした。タイに行かれる方は必見です!
観光二日目(バンコク市内)
今日はバンコク市内の観光です。
観光のスタートはエメラルドに輝くワット・パクナム寺院からです。
その前にバンコク市内でとても気になったことがあります。それは電線です。写真はまだましなほうですが、電線がぐるぐる巻きの束になっているのです(写真15)。電線の束の上を猫が歩いていました(写真16)。日本ではまず見ることができない光景です。電線についてガイドに聞いたところ「タイではトウデンが多い」とのことでした。東京電力?東北電力?ではなく「盗電」だそうです。ゴチャゴチャした電線を悪用して電気を盗む、これが総電力の10%にも及ぶとのことでした。それも大変ですが漏電などしないか心配です。
さて、ワット・パクナム寺院(写真17)。白く聳え立つ寺院の中には、エメラルドに輝く眩いばかりの仏塔があり、天井画はまるで宇宙・銀河の世界で(写真18)、これほど綺麗な彩りはバルセロナのサグラダファミリアのステンドグラスを通った太陽光以来です。見ていると体ごと吸い込まれる様な感覚におそわれました。本当に素晴らしい壮大な天空アートを堪能させていただきました。
その後はワット・アルン、暁の寺院です。高さ76mの大仏塔ですが、この仏塔の表面は陶器で作られているとのことでしたが、その色鮮やかさは驚きでした(写真19、20)。
その後に暁の寺院のそばを流れるチャオプラヤー川を連絡船で渡り、ワット・プラケオと王宮を訪ねました(写真21)。タイは黄金の国でもあり、ワット・ポーの涅槃仏は体調48mの巨体な全身に黄金を纏っていました(写真22)。ここには撮影ポイントがありますが、欧米人、日本人など多国籍の人が列を作り並んで順番に撮影していました。そこに、おそらくC国人と思われる数人がぐいぐいと割り込んで前に行こうとしていました。そこで私が「No、No、Stop」と大きな声で阻止しました。それでも前に行こうとしましたので、何回か制止したところ、やっとあきらめたらしく引き上げていきました。周りから「Good Boy!」との声と拍手があり、これは嬉しかったです、Boyですからねえ!
煌びやかな王宮を後にし、ガイドさん超お奨めのマンゴーの専門店に立ち寄りました(写真23)。人気のようでお店は広かったですが満席で、待っている人が列をなしていました。
今まで何回かマンゴーはいただいておりますが、完熟度が高く今まで味わったことがないほどのすっきりした甘さでした。アイス付きのこの一皿が185バーツで、日本円で約650円ほどです(写真24)。日本で食べたら2000円くらいはするのではないでしょうか。マンゴーが特別好きではなかったかった家内も絶賛のこのお店はぜひ訪れてみてください。
そして、この旅行の〆のタイ式マッサージです。
家内の友達が5時間マッサージをうけ、とても気持ちが良かったということでしたので、私達も90分コースをお願いしました。専用の服に着替えて10畳くらいの部屋に男女6人、さあマッサージの始まりです。私を担当してくれたのは比較的若く、レディーボーイに比べはるかに筋肉質の逞しい女性でした。マッサージは足先から始まり、脛、腿、腰、背中、首、頭と進みました。
最初はソフトでしたが、だんだんと力が入りぐいぐいきました。右足底のマッサージが痛くて思わず「ウッ」と声を出してしまいました。その後も、右ふくらはぎと左腿や首では痛みで我慢できず「ウーン」とか「ワオ!」など声が出てしまいました。これがいけませんでした。マッサージ嬢は私があげる静かな悲鳴が楽しかったらしく、けらけら笑いながら、ぐいぐいとマッサージをする手に力を込めてきました。さらに痛みにあえぐ私に、ほかのマッサージ師や受けている人もくすくす笑い始めました。気持ちは良かったのですが、結構きついタイ式マッサージ体験でした。
その後は夕食をとり、タイを離れることになりました。夕食は正直なところ、マッサージの90分はあったものの、マンゴーを満喫してさほど時間が経っていなかったため、半分程度しか食べられませんでした。「空腹は最高の調味料なり」を実感しました。今回は時間の関係で水上マーケットには行きませんでしたが、タイを本当に満喫させていただきました。
まとめ
食事は美味しく、見所満点、人柄も良い微笑と黄金の国タイ。日本からさほど遠くなく、異国情緒を満喫できるタイはお勧めです。
タイにおけるリゾート地として有名なプーケットはTVでご一緒させていただいたアナウンサーが大好きで、何回か行かれているようです。できればここも行ってみたいところです。
男性は「コップン・カップ」、女性は「コップン・カー」を覚えておくとよいです。そしてマッサージのときは声を出さないのがコツです。
暑いので、熱中症にならぬよう、出かける時季は検討した方がよいと思います。
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(令和2年1月号)