木村 洋
前日夕食後から禁食し、朝から水溶性下剤約1.5Lを時間かけて、ひたすら水と交互に飲みます。するとあれよあれよと便意をもよおしトイレに駆け込み、出終わったと思うと、また、次の便意が押し寄せます。トイレを占領し、トイレットペーパーを(この不足の時に)ほぼ一巻き使ってしまうほどで、痔でもないのに肛門周囲がヒリヒリ痛くなってきます。じっと耐えて、見本の写真のように最初は茶色から徐々に黄色、残渣の混じった便、最後はきれいな水となり、胃も腸もカラッポで完成です。よくもまあこんなにため込んでいたものだと感心します。さあ、大腸ファイバー検査に臨みます。ドクターの「おしりを失礼します」の掛け声で、肛門から挿入され、一旦上行結腸まで到達し、観察しながら引いてくるのでしょうか。上行結腸から観察をはじめ、所々寄り道をしながら、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸と、すっかりきれいになったピンク色の粘膜ひだを見ながら、まるで映画の「ミクロの決死圏」のカプセルで腸空間を遊泳しながら夢見心地です。と、突然粘膜ひだに突起物発見だ。すぐに撃退へ。そんなことを2度3度繰り返し進みます。邪魔者もいなくなり、腸も空っぽになりすっきり。年一度の「プチ断食」で快腸、これでおいしい酒が飲めるぞ(ポリープ摘出後3−7日はアルコール禁とか)。
腸は第二の脳だともいわれ、最近は乳酸菌飲料摂取で免疫力アップなど、とみに腸活としてクローズアップされています。また、大腸がんの早期発見にもつながります。
断食とは飲食行為を断ち、修行としての宗教的意味合いや抗議の断食などストイックなイメージが強いと思いますが、最近はデトックス効果を期待するプチ・ファスチング(断食)もあるそうです。「のめしこき」のプチ断食で「快食」、「快眠」、「快便」で快調(腸)に。
(令和2年4月号)