関根 理
「岩合光昭の世界ネコ歩き」(NHK BSプレミアム)を毎回楽しく見ている。多くは録画しておいて、時間に余裕のあるときにみる。世界中の猫がどこの国のものであっても柔軟な身体、素晴らしい運動能力、狭い所や高い所を好む性質、甘えるときの仕草など共通していることがわかる。日本と違って犬、鶏、羊、牛などと親しくじゃれ合うことがわかり、これまでの私達日本人の猫との接し方、とくに野良猫イコール泥棒猫的なものだったこととの違いに気づかされた。犬と猫が身体を寄せ合って日向ぼっこをしたり、お互いをなめ合う様子など日本では見たことがなかった気がする。外国だけでなく、国内でも京都、鎌倉、津軽、沖縄などが取り上げられていて、可愛がられていればそれなりに懐き、独りでいるときの愛らしい仕草なども見ることができた。岩合氏の猫の捉え方、陽光や背景を美しく見せる構図のとり方など、何気なく見ていてもさすがプロと感心させられる。
総じて外国の猫は野良猫でも可愛がられているせいか、肥っていて毛並みがよく、おっとりしているようだ。色合いは当然様々だが、わが家にひと頃通ってきて餌をやっていたよもぎ色の猫に似たのが出てくると、やはり親しみがわき呼び名の「トラ!」と声が出てしまう。このところわが家の近辺でも、街へ出ても猫の姿を見なくなった。2年位前、「野良猫に餌をやらないで下さい」というお達しがまわってきたことがあった。そのため餌がもらえなくなって住み難くなったのかもしれない。昨年、古町の立派な店に上って飲んでいて、天井裏でネズミの走りまわる音が聞こえたことがあった。よく小路にたむろしていた猫の姿が見られなくなったが、それでネズミがさわぐようになったのかもしれない。
わが家も高齢世帯、飼うことはできないが、また猫が通ってくることがあれば以前よりはいいものを食べさせてやりたいと思っている。
(令和2年4月号)