西條 康夫
毎年3月になると、2011年3月の東日本大震災や福島原発事故関連の記事やテレビ番組が多くなります。
当時、私は仙台から弘前に単身赴任しておりました。家族4人は、仙台(妻)、弘前(私)、フィラデルフィア(息子)、新潟(娘)とばらばらでした。震災後に福島原発が水素爆発を起こしたことで、もう周辺はダメだと海外で大きく取り上げられました。アメリカ在住の息子から電話があり、弘前にいた私は、仙台近郊で避難生活をしていた妻を迎えに行くことにしました。震災4日後に、青森から羽田に、そして山形へと飛行機を乗り継いで移動し、山形から臨時バスで夜中に仙台に入りました。この目で見た海岸沿いの津波の惨状や、震災直後の静まり返った真っ暗闇の仙台市の様子が、私の目に焼き付いています。
その後、縁あって、私も妻も新潟に戻ってまいりました。あれから9年がたち、震災の記憶が薄れていっていることを実感します。しかし、復興は道半ばであり、また原発事故後の廃炉作業は遅々として進んでおりません。私の生まれ故郷である福島の汚染地域の除染や住民帰還もまだまだこれからです。
NHK番組の「明日へつなげよう」という番組をご存じでしょうか?日曜日の午前10時から1時間弱の番組です。東日本大震災の復興に関わる人々の姿を捉えています。これ以外にも多くの東日本大震災や原発事故に関する番組が提供されています。時間がありましたら、是非見ていただければと思います。
今、中国で始まった新型コロナウイルス感染が世界中に広まりパンデミックの状態になりつつあります。日本でも、感染者数が毎日のように増えて、今後どうなるんだろうと、不安になってしまいます。
陽春薫風にはふさわしくない内容かもしれませんが、毎年この時期になると感じることを書いてみました。「やまない雨はない、必ず晴れる」を胸に、この困難な時期を乗り越え、穏やかな陽春薫風を迎えることができればと思います。
(令和2年4月号)