蒲原 宏
昔の患者で株屋のベテランがいる。世の中がざわめくと裏情報を話しに来る。私は「俺は膝カブが二つあるから株には手を出さない」と言うので売買の話でなく経済の変動を話してくれる。
今回のCOVID-19新型肺炎で李文亮医師の死が発表された日にやって来た。開口一番、「先生今度の流行病はCIAの謀略だと株屋仲間での噂ですよ。前のSARSで痛い目を食った中国は武漢市にフランスの医学者の力を借りて微生物研究所を作ってビールスの研究をしていたが、SARSのビールスより凄い奴が見つかった。それがCOVID-19。CIAはいち早くそれを知ってフランス人研究者から入手してハクビシンに移して武漢の市場に売り出したそうです。フランスの研究者はそれより前にズラカッたそうですよ。大きな金が動いたそうです。それに反共の中国人グループがアメリカのCIAとつながっていたそうです」。
「マジかよ」と私。「ワシントン・ポストにそれらしい記事がでたそうです」とのことだが私には確かめようがない。本当だとすれば、第2次大戦中に日本陸軍の731部隊のやった細菌戦を遥かに凌ぐ作戦だ。
株屋さんは「これは中国の人民元とアメリカドルの戦なんですよ。中国がデジタル人民元を流通させてドルの勢力を駆逐しようとしているので、アメリカが中国にダメージを与えるための細菌戦なんだと言われています」という。また「2002年11月~2003年7月31日までWHOの発表で8,098人罹患、774人死亡(9.6%)のSARSの流行で全世界が280億ドル(3兆4000億円)の経済被害を受け、中国は60億ドルの損失があった」という。
「COVID-19の流行が何時終息するかわからないが、中国の経済に及ぼす被害は莫大な額となろう。世界経済への影響もあろう。人民元の信用も落ち、デジタル人民元実現も棚上げとなり、ドルの優位が保たれるだろう、との株屋街の話です」という。
言われてみると経済戦争には原爆よりも目に見えないビールスという恐ろしい姿の見えない忍者が使われる可能性も否定できないと思う。
この一文が掲載される4月末頃COVID-19が終息しているかどうかわからないが、少なくとも中国と日本の経済に大きな傷がついているにちがいない。フェイク・ニュースと思うが、CIA謀略によるCOVID-19のビールス戦略が行われたとすれば、この種の一連のビールスは天然痘の場合と同じように国際条約によって封じ込める必要があろう。経済の動きに敏感な株屋さんという人たちの話は聞いていて老人には面白いが、恐くもなる。世界中が大変になりそうだ。校正した時には世界の大騒動になってしまっていた。