勝井 豊
本年5月から一般市民を対象とした新型コロナワクチン接種が始まり、当院でも5月下旬から週に3回、昼休みの時間を利用して、1回当たり24人から30人を目標にして取り組んでみた。他の医療機関よりも小規模な接種だが、最初の頃は待合室に入りきれない人達が、玄関の前に行列を作るほど賑わった。
1週間に100人を超えると加算がつくので、あわよくばその人数まで近づけたいと願っていたが、7月上旬になってワクチンの配分が大幅に制限される事態がおきた。請求どおりにワクチンが配分されるとは限らないので、新規の予約をできるだけ控えるようにして、2回目接種の人達を優先しながら対応した。2ヶ月後には状況はかなりよくなったが、新規の予約を最小限にしながら現在に至っている。
国はワクチン接種を促進するために、多種多様な取り組みを行ってきた。様々な加算をつけたり、電子的な方法での報告を義務づけたりして、我々を駆り立てていたが、肝心のワクチンが不足してしまい、元も子もなくなってしまったように見受けられる。ワクチンの供給を海外の製薬会社に依存していたために、情報の不足によって生じた誤算であったように思う。
我が国にとって必須の社会的な資源や、物的な資源のなかには、海外への依存度が高いものとして、IT技術やエネルギー資源、食料、希少金属など枚挙に暇がないし、軍事や外交についても対米依存度が極端に高いようにみえるが、アフターコロナの時代を迎えるにあたり、「メイド・イン・ジャパン」の価値を見直すチャンスなのではないだろうか。
(令和3年10月号)