山本 泰明
第9回新潟市医師会総会、令和3年度新潟市医師連盟総会、総会セレモニーが11月27日(土)、堂前洋一郎新潟県医師会長、歴代新潟市医師会会長、功労会員、新潟市医師会地域医療研究助成認定者の先生方などの出席の下、新潟東映ホテル2階朱鷺の間にて開催されました。今年度も引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、会場への入場者を絞り、福引抽選、懇親会、天狗展も行わない形での開催となりました。
第9回一般社団法人新潟市医師会総会
1.開会
担当の大滝理事が開会の宣言をしました。
2.会長挨拶
冒頭、浦野正美会長は、昨年に続いてコロナ禍での異例の開催であること、第5波が収束している現在は、停滞していた事業を始動させていること、今後5年、10年後の医師会のあり方を検討していると話されました。
続いて、これまでコロナ第5波で逼迫した医療情勢を会員の先生方の尽力で乗り切れた事に感謝の意を表され、当面のコロナ対策では引き続き各診療・検査医療機関に協力を要請し、新型コロナ相談外来の維持、宿泊・自宅療養担当医の確保、ワクチン接種に協力して「オール新潟」でいくとし、今後は第3回目ワクチンへの対応と新型コロナ感染後遺症への対応を検討していると述べられました。
医師会運営の三つの目標①ICT化②役職員のスキルアップ③情報の収集と発信について、これまでの進捗状況と今後の見通しを、以下のように言及されました。
① ICT化では、新潟県の新世代ヘルスケア情報基盤プロジェクトへ当会も積極的に参加する事、当会のSWAN ネットと県内各地域医療ネットとの連携を進める事、政府のデジタル田園都市構想に対応してDoctor to Patient with Nurseを発展させ、コメディカル、他職種をICTで連携しながら新潟の医療を向上させていく事、2024年の医師の働き方改革で救急医療体制の対応は急務となっており、医療調整会議を開催ししっかり検討したい。
② 役職員のスキルアップでは事務局の強化として、業務課改編、人材の新規採用、健診事業の見直しを行い、今後は精度管理を主体とし得られたデータを世間に発信していきたい。
③ 情報の収集と発信では従来の大学、行政に加え、マスコミや経済界などとの意見交換を行い連携を深め、あらゆるチャンネルを活用して研鑽が積めるような体裁を整え、そのためにシンクタンクを創設し情報の収集と発信を行いたい。
また、新潟市の提唱する「住んでよし、訪れてよし、選ばれる都市新潟市」へ協力するため、ウイズコロナ・ポストコロナ時代の街づくりへの参加、特に新・新潟駅~万代~万代島~古町の「にいがた2km」の活性化のためのスマートシティ協議会へ参加し、医療・介護・福祉の視点から提言、貢献していきたいと述べられました。
最後に、多くのチャンネルを持ち各方面への情報発信を行い、医師会の活動を盛り上げていきたいと結ばれました。
3.議長選出、副議長選出
議長に新田幸壽先生、副議長に井口清太郎先生が選出され、新田議長の司会のもと議事が進行しました。
議事に入る前に21名の物故会員の先生方に黙とうをささげ弔意を表しました。
4.議事
報告事項:担当の大滝理事から説明がありました。
1 庶務報告
令和2年3月に開催予定でした臨時代議員会は新型コロナの影響により書面議決となりましたが、令和2年6月30日の定時代議員会終了時からの新役員の就任が承認されました。6月30日以降、浦野会長以下、2名の副会長、13名の理事、2名の監事で令和2年度の医師会業務に取り組んだ事が報告されました。
2 令和2年度一般社団法人新潟市医師会事業報告
(1)総務部(2)医療安全部(3)広報部(4)学術部(5)病院・勤務医部(6)地域福祉部(7)在宅医療部(8)救急医療部(9)地域保健部(10)社会保険部(11)小児・学校保健部(12)福利厚生部(13)会計部における新規事業、変更項目が示されました。
「会員に関する事項」では、令和3年3月31日の時点で、A会員(病院・診療所の開設者・管理者)は511名で、前年度より3名増加し、B会員(A・C・D会員以外の勤務医)は848名で11名増加、C会員(医療教育機関の勤務医)は210名で3名の増加でした。D会員(病院等に勤務する研修医)は51名で3名減少、会員合計は1,620名で14名の増加が報告されました。
「地域保健部」では新型コロナウイルス感染症対策に関する事項が追加され、各部でコロナ禍の影響で中止せざるを得ない講演会、研修会が多数ありました。
急患診療センターの利用状況は、新型コロナウイルス感染リスクの懸念による受診控えのためか総受診者数が26,205名で、前年度57,150名から30,945名(55%)減少となりました。2次~3次病院に転送された患者数は754名(2.9%)で、幸いにも死亡例は0でした。テレフォンサービス利用数は29,635件で、前年度より7,162件減少した事が報告されました。
3 令和2年度一般社団法人新潟市医師会決算報告
担当理事の山本から正味財産増減計算書について説明いたしました。
(1)経常収益
(2)経常費用
(3)当期一般正味財産増減額
(4)正味財産期末残高
経常収益は、受取入会金、受取会費、事業収益、急患センターの診療報酬、受取補助金等で経常収益計は12億2636万円余りで前年度に比べ2226万円余りの減額でした。
経常費用は、事業費と管理費で経常費用計は11億9435万円余りで前年度に比べ1652万円余りの減額でした。当期経常増減額は3200万円余となり前年度に比べ574万円余の減額となりました。
税引前当期一般正味財産増減額から法人税、住民税、事業税を差し引き、当期一般正味財産増減額は2740万円余りで前年度に比べ1168万円余りの増額となりました。これに一般正味財産期首残高を加え正味財産期末残高は15億9169万円余りで、2740万円余りの増額となりました。
なお、決算については監事および独立監査人により監査報告書の通り適正妥当と認められていることを報告しました。
以上の報告をもって、総会議事は終了いたしました。
令和3年度新潟市医師連盟総会
1.開会
大滝理事が開会の宣言をしました。
2.委員長挨拶
開会に引き続き、新潟市医師連盟浦野正美委員長は「新潟市医師会と新潟市医師連盟は別組織であり、特定の政党だけを支持するのではなく広く政策を協議して市民のために政治的発言を積極的にしていきたい。そのため政治、行政に政策提言を医療側からするためのシンクタンクを創設して様々なチャンネルを持ち、医療と経済の両立を目指して活動を広げていきたい」と述べられました。
3.議長選出
議長に新田幸壽先生、副議長に井口清太郎先生が選出されました。
4.議事
報告事項
1 令和2年度新潟市医師連盟事業報告
2 令和2年度新潟市医師連盟会計収支決算報告
担当の大滝理事より令和2年度新潟市医師連盟事業報告があり、医師連盟常任執行委員会を令和2年12月23日に開催し、衆議院議員総選挙について協議した旨伝えられました。
続いて担当理事の山本が決算報告を行いました。収入は会費、県医師連盟からの事務助成金、預金利息、前期繰越金を合わせ2359万円余り、支出は医師連盟総会費、寄付・交付金、通信運搬費などで35万円余り、次期繰越金は2324万円余りとなりました。
会計監査者の荻荘監事より帳簿、領収書等関係書類を監査し収支は適正妥当と認めると報告があり、決算報告が承認され、新潟市医師連盟総会は終了しました。
総会セレモニー
1.開会
2.会長挨拶
浦野会長は長年、市医師会に深くかかわってくださった先輩4名の功労を称え表彰させていただくことと、地域医療研究助成事業において地域医療等の向上に寄与するとして採択を受けた4名の方にその認定書授与を行い表彰する旨伝えられました。
3.来賓祝辞
新潟県医師会長堂前洋一郎様からご祝辞をいただきました。
冒頭、新潟市医師会が県都地域の医療・保健・介護・福祉に大いなる貢献してきた事、コロナ対策として特にワクチン接種に鋭意取り組んだ事に深甚なる敬意を表したいと述べられ、続いて県医師会でも代議員、役員として会務の遂行に絶大な協力をしていただいていると感謝の言葉を述べられました。
コロナ対策で滞っていた医療改革について、新潟県内の「地域医療構想」で方向性が定まっていないのは「新潟圏域」のみと指摘され、夜間・休日の2次救急体制に関して早急に将来構想を確立する必要があると述べられました。そして公的病院の再編、統合、役割分担を行った後には、急性期医療も担っている中小の私立病院も影響を受けるため、破綻するようなことは絶対に避けなければならない、診療所も外来機能を分担する重要な医療資源であり、国の「外来機能報告制度」の導入で診療所と病院の外来の差別化にならないよう注視していかなくてはならないと述べられました。
結びに、功労会員への感謝と地域医療研究助成事業認定書授与者にお祝いのお言葉をいただきました。
4.功労会員表彰
永年にわたり本会及び各分野でご活躍された先生方のご功労に感謝し、今年度表彰会員の鷲山和雄先生、内山三枝子先生、坂上極先生、坂野忠司先生のお名前をお呼びし、出席された鷲山和雄先生に浦野会長より表彰状と記念品が授与されました。
5.地域医療研究助成事業認定書授与
4名の先生方に研究助成認定書授与が行われました。
我妻奎太先生の研究課題は「新潟市における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の疫学研究」で、新潟市の新型コロナウイルス感染症を、疫学解析と全ゲノム解析の両側面から包括的に解析し、クラスターの発生要因を明らかにする事で、将来の新潟市の感染症対策の強化に役立てることを目的としたご研究です。
中井良育先生の研究課題は「要支援高齢者の重度化予防に関する研究-「質」が保証されたケアマネジメントモデルの構築に向けて-」で、チームケアに欠かせない多職種の専門的な視点や知見に基づく助言といった介入が、ケアマネジメントの質にどのような影響を与えているのかについて測定・検証し、介護の重度化の防止や、生活の質の向上に資する支援のあり方を提唱することを目的としたご研究です。
佐藤信宏先生の研究課題は「新潟市におけるCOVID-19の救急応需への影響調査に基づく新救急搬送システムの創出」で、COVID-19の流行によって、新潟市における救急搬送の応需が患者属性や疾病・外傷別にどのように変化したかを調査し、問題点を抽出することで、救急搬送システムのさらなる改善につなげることを目的としたご研究です。
田中美央先生の研究課題は「新潟市における医療的ケア児・者の災害支援基盤強化の検討」で、介入プログラムに当事者中心の地域包括ケアの視点を用いることで、自助・近所・共助・公助の促進を実現する点に特色があり、新潟市における医療的ケア児・者の災害支援の基盤強化と包括的推進の検討を行うことを目的としたご研究です。
令和4年1月29日に地域医療研究助成発表会がWeb開催で行われるとアナウンスされました。
例年行っている長寿会員の慶祝は、白寿2名、米寿15名の先生方には会場にお越しいただかず、お祝い状並びに記念品の郵送にて贈呈が行われました。
以上で総会セレモニーは終了しました。
恒例の福引抽選会、懇親会、天狗展は残念ながら開催されず、すべての日程は終了しました。
昨年に引き続きコロナ禍のため今年の総会は異例の開催となりましたが恙なく終了しました。来年こそは例年通りの総会、総会セレモニーが開催できます事を願っております。
浦野 正美 会長
堂前 洋一郎 新潟県医師会長
功労会員表彰
地域医療研究助成事業認定書授与
(令和4年1月号)