戸枝 哲郎
この1年間、新型コロナウイルスで旅行は行けず外食もできず、病院と自宅を行ったり来たりする単調な生活が続いた。徐々にストレスが溜まってきた。そこで気分転換の為、毎週の土日に車で1時間半の所にある岩船港鮮魚センターまでドライブをすることにした。
海岸道路である国道113号線と345号線の道沿いには季節の移り変わりとともに黄色のレンギョウ、白色のニセアカシヤ、赤色のサルスベリなどの花が次々と咲いて目に入ってくる。遠くにぼんやりと粟島が浮かんでおり、日本海の波や景色は四季折々の変化を見せてくれる。田んぼは5月の田植えで鏡のようになり、アッという間に青々と茂り、9月に黄金色となる。冬には白鳥の家族が田んぼの一か所に集まって落穂をついばんでいる。
鮮魚センターで、目は黒々とし魚体はつやつやしている定番である地元産のマダイ、ヒラメ、スズキなどを捌いてもらい、刺身やしゃぶしゃぶでいただく。魚の頭や骨は輪切りの大根を入れたあら汁で舌鼓を打つ。時々、太平洋からのシマアジ、キンメダイなども入荷され刺身や煮魚としていただく。6月から8月にかけて山北産の岩ガキが解禁となる。カキ剥き用のナイフを貝の隙間から挿入し、平たい面の中心部にある貝柱を切ると蓋が開く。そこにレモンを絞って口の中に入れ、ウーンと言って納得する。冬場は村上の銘酒である大洋盛や〆張鶴、又は山ブドウワインを飲みながら、ズワイガニ、ケガニ、アンコウの鍋料理で温まる。時々、高級魚のノドグロを買い求めて刺身や焼き魚にしていただく。何とも言えない脂味にウーンと言って満足する。今年はサケが不漁でイクラは非常に高値であり、正月用のみを購入した。
コロナ禍の中で日本海の恵みを十分に堪能することが出来ている。
(令和4年4月号)