大滝 一
ネコを飼っている方なら、ご賛同いただけると思いますが、ネコとの会話は絶対成立しますよね。
ネコにも無口な奴や、私のように口下手な奴もいれば饒舌な奴もいます。非常にタイミングのいい、調子のいい猫もいれば、全くTPOをわきまえない困ったニャンもいます。これは人間と同じです。ただし、ねこは気分が乗らないと、いくら話しかけても全く会話に乗ってきませんので、ここはネコのネコらしいところです。お愛想で人の話に付き合う人間とは大分異なり、見上げた根性です。
とある朝の私とわが家きってのイケメン、ブンチャンとの会話です。「ブンチャン、これから医院に行ってくるから、いい子にして留守番してんだぞ」、「はーい分かった、任せておいてくれ、以前に医師会報に載っけてくれた“ニャCOM”でバッチリだよ」、「今日もネコ招き、がっちり頼むぞ、右手はマ〇ー、左手はマン(人)を招くんだぞ、ダブルMM、分かってんな。ただ、恥ずかしいからこのことはあまり人には言うな。いいか、両手でしっかり招いてよ、5匹全員で10本だ」、「ホイヨ、お任せ、超得意でんがな(なぜか関西弁)、言っとくけど、右手、左手ではなくって、右前足、左前足だかんね」、「あとテーブルに上がるのは止めてくれよ。ブンちゃんはリーダーなんだから他の4匹にもちゃんと言っておけよ」、「そんなの分かってるよ、言っとくよ、それより早く仕事に行きなよ」、「それと壁での爪とぎは駄目だからな、分かってるか家を壊すんじゃねえぞ、じゃ行ってくるぞ」「はーい、はい、はい、分かってるってば」ざっとこんな感じです。
私はブンチャンの頭をなでながらこのような話をし、「ニャーオ」「ニャン」「ウニャ」とかの反応から気持ちを読み取っています。猫たちとのニャン会話は私の一日の元気の源となっています。
なーんて、私は勝手に解釈していますが、この勝手に解釈できるところがニャン会話の都合の好いところです。
ブンちゃんは「うるさいーなー、早く仕事に行けや。しっかり稼いで“ネコ懐石”でも買ってきてくれ。テーブルに上がるな、壁で爪とぎするな、とうるさいと、明日は“ガブ”か“バリバリ”すっぞ」が本音のようです。
(令和4年10月号)