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新潟市医師会報より

新潟市医師会

新潟次世代医療科学研究協議会(Niigata next generation medical technology research association:N[EXT]A)開設記念講演会「かかりつけ医について」

新潟市医師会 副会長 大滝 一

Ⅰ.はじめに

令和4年11月26日の午後4時30分から第10回新潟市医師会総会が開催された。それに先駆けて、この7月に新潟市医師会のシンクタンク機構として設立された新潟次世代医療科学研究協議会、通称N[EXT]Aの開設記念講演会を午後3時30分から1時間行った。浦野正美会長からのN[EXT]Aの立ち上げの経緯と今後の目的などの説明の後、「かかりつけ医」をメインテーマとして以下の内容でシンポジウムを開催した。

<目次>

1.新潟次世代医療科学研究協議会N[EXT]A事業概要

新潟市医師会 会長 浦野正美

2.シンポジウムテーマ「かかりつけ医について」

座長 新潟市医師会 副会長 大滝 一

1)情報提供「かかりつけ医をめぐる諸問題について」

新潟県医師会理事 小柳 亮 先生(日本医師会医療政策会議かかりつけ医WG委員)

2)新潟市医師会(N[EXT]A)の取り組み

①かかりつけ医に関するアンケートの調査概要

新潟市医師会理事・N[EXT]A統括局
横田樹也
新潟市医師会理事・N[EXT]A統括局
阿部行宏

②今後の活動展望

大阪大学大学院医学系研究科特任助教
N[EXT]A主任研究員 島村実希
新潟市医師会業務課長・N[EXT]A研究開発局 斎川克之

浦野会長、小柳先生はじめシンポジストの報告・発表内容を演者ごとに以下に提示する。なお紙面の関係から詳細については、新潟市医師会のホームページのN[EXT]Aのコーナーを参照いただきたい。

Ⅱ.新潟次世代医療科学研究協議会N[EXT]A事業概要

新潟市医師会 会長 浦野正美

はじめにN[EXT]A発足までの経緯を説明する。N[EXT]Aは実質的には2018年より新潟市における有志の団体として活動しており、既に多くの「医療・介護における課題調査・分析」を実施して結果を出している。N[EXT]Aのオリジナルの意味はNiigata Experimental Touch and Actionsである。この数年間の新型コロナ対応で浮き彫りになった課題には多職種連携や医療DXの促進がある。これらを解決するために、2022年7月よりN[EXT]Aは、新潟市医師会事業として改編し、新潟市医師会のシンクタンクとして産官学連携を基本として新しいスタートを切った。理念は新潟市民の生涯にわたる健康で文化的な明るい生活を支えるであり、目的は新潟市民がいつまでも健康で文化的な生活が営めるように、課題の抽出及びその解決をすべく、医療資源を基盤とした、先端技術の活用と多職種連携の推進である。

事業内容は調査・研究、ソリューション開発、社会提言・啓発活動を3つの柱とする。

統括局、研究開発局、事務局の3つの部局が協議の上、当協議会の研究テーマや公募、産官学民とのプロジェクト連携の方針などを検討、確定する。各方面から研究者を招聘し、従来の医師会事業をサポートすることにより、先端技術の活用と多職種連携強化を行い、さらなる市民の健康増進と公衆衛生の向上を目指す。また、新潟市の街づくりにもヘルスケアの概念を提唱して貢献する。

Ⅲ.シンポジウムテーマ「かかりつけ医について」

座長 新潟市医師会 副会長 大滝 一

1.情報提供「かかりつけ医をめぐる諸問題について」

新潟県医師会理事 小柳 亮 先生

日本医師会は、かかりつけ医機能研修制度を実施するなど、これまで一貫してかかりつけ医の普及に取り組んできた。

かかりつけ医とは、なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医・専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師であり、その診療科や病院の医師か診療所の医師かを問うものではない事が、2013年の日医・四病協合同提言で確認されている。

今回のコロナ禍により、かかりつけ医機能を含む地域医療の機能が十分作動せず、通常診療や救急医療に大きな負荷がかかったとの指摘があったため、全世代型社会保障構築会議において「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を国民目線で進めるべきである」と提言された。

また、財務省財政審においてはかかりつけ医を①法制上明確化、②認定するなどの制度、③事前登録・医療情報登録をすべきととりまとめられた。

そして経済財政運営と改革の基本方針2022(所謂骨太の方針2022)においては「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」と明記された。

これを受け、日本医師会医療政策会議にかかりつけ医WGを組織し、かかりつけ医に関する日本医師会のスタンスを明らかにし、今後、我が国に望ましいかかりつけ医機能を提言することとなった。

その提言の一次報告が本年11月になされた。日常診療時より、他の医療機関と連携し、地域住民(患者)の医療ニーズに対し、地域におけるネットワークで対応していくことが望ましい。地域の住民が誰一人困ることがないよう、地域医師会がリーダーシップを取り、診診連携・病診連携のネットワーク等により、「地域における面としてのかかりつけ医機能」を発揮する必要がある。それを国民にわかりやすく医療情報として示すための工夫も必要であるとされた。また、新潟市医師会のアンケート調査などを参考に、地域医療の現場の声を活かしていくことが大切であることが強調された。

2.新潟市医師会(N[EXT]A)の取り組み

1)かかりつけ医に関するアンケート概要

新潟市医師会理事・N[EXT]A統括局 横田樹也

今回、「かかりつけ医に関する現状」についてアンケート調査を実施するにあたり、事前に会員の先生にかかりつけ医の概念やその制度化の議論の経緯を知っていただくことが重要と考え、参考資料を作成し、アンケートに添付した。シンポジウムでは、その中から、特に、我が国での議論の経緯と他国の現状について説明した。

我が国におけるかかりつけ医の議論は、1985年に厚労省が家庭医に関する懇談会を設置したところにはじまる。このなかで、家庭医を制度化にしたい厚労省とそれには反対の日医で意見が割れ、一時議論は中断されたが、1992年に日医の意見を取り入れたかかりつけ医推進モデル事業が実施されることで、全国にかかりつけの言葉が広がった。一方、制度化の議論はしばらくなされなかった。

2019年に中国で発生した新型コロナウイルス感染症は、2020年には日本全国へ拡大し、その影響で、保健所業務や入院医療の対応が困難になるとともに、医療機関の診療拒否が認められた。これをきっかけに、再び国においてかかりつけ医の制度化が求められ、2022年には政府が骨太の方針2022の中で、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」と明記したことで、議論が本格化した。

かかりつけ医の制度を議論するにあたり、各国の医療制度を知ることも重要である。世界の医療制度は主に、イギリスの国営システム、アメリカの民間保険システム、日本やフランス、ドイツにおける社会保険システムがある。これらの3システムにはそれぞれ利点と欠点があるが、今後の議論で、より日本に合った「かかりつけ医」制度が構築されることが望まれる。

2)アンケート結果

新潟市医師会理事・N[EXT]A統括局 阿部行宏

対象は476名で新潟市医師会A会員および診療所勤務のB会員とし、回答数は149名で回答率は31.3%であった。主たる診療科は約半数が内科であり、次いで10.7%の耳鼻咽喉科であった。

かかりつけ医への関心については多くの回答で関心があるとされ、かかりつけ医制度に関しても認知されている状態との回答であった。かかりつけ医制度に関し、健康相談や必要時に適切な医療へのつなぎはほぼできており、包括ケアシステムの中での役割は約7割が果たしていると回答されていた。24時間365日対応するための地域での連携体制の協力に関しては約6割が協力していると回答したが、体制そのものについては議論の余地があるとのことであった。医療のフリーアクセスの課題については適正受診やポリファーマシーがあげられた。

かかりつけ医が制度化された場合のメリットは、医療アクセスの明確化、費用の削減、患者把握の容易性が、デメリットとしては医療水準の低下、専門家への受診アクセスの悪化、救急医療体制の再構築、患者の選択権の喪失があげられていた。

イギリスのような医療体制になった場合の対応としては医療体制の再構築と共に医師に対する教育システムの構築や再検討が必要とされ、医師同士の連携を作り、患者への理解を求める啓発活動の必要性があるとされた。また、どの診療科においても影響はあるとの回答が多かった。

望ましいかかりつけ医については、今後、医師同士の連携が必要とされ、望ましいかかりつけ医制度については専門機関への迅速な紹介体制の確保、患者の選択権の担保があげられており、より患者の利益に近い部分での要素が必要とされた。

以上から、様々な課題はあるが、今後は医師同士の連携が必要とされ、連携の在り方の検討や各取り組みへの支援が医師会として必要と考えられた。

3)今後の活動展望

大阪大学大学院医学系研究科特任助教・N[EXT]A主任研究員 島村実希

かかりつけ医の地域でのあり方を大テーマとし、以下6つの小テーマを中心に研究を進めていく。

具体的には①地域医療連携のあり方、②かかりつけ医に必要なスキルの整理、③救急医療、災害医療体制のあり方、④地域でのかかりつけ医を支えるデジタル技術、⑤かかりつけ医が持つデータの利活用、⑥かかりつけ医機能の市民への啓発の6項目について検討する。

かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて全国でもいち早く現場の先生方の意見を収集し、データを整理して新潟モデルを全国に提示していく。

実現性の高い制度を提言、構築していきたいと考えているので、引き続き会員の皆様のご協力、ご指導をお願いしたい。

新潟市医師会業務課長・N[EXT]A研究開発局 斎川克之

N[EXT]Aの掲げる目的は新潟市民がいつまでも健康で文化的な生活が営めるように、課題の抽出及びその解決をすべく、医療資源を基盤とした、先端技術の活用と多職種連携の推進である。その実現のためには、市民個々の予防・未病、病気、介護それぞれの情報がつながり、必要な時に適切な情報や手段が講じられる必要がある。それには、医療介護福祉分野だけのリソースでは、実現が難しく、産官学連携は不可欠である。しかし、より一歩踏み込んだ産官学の実現には、医療・介護分野と企業の目的の違いや企業間連携の難しさもあり、容易に進まない実態がある。N[EXT]Aは、その課題解決のため、新潟の多職種連携が進む土壌とコーディネーターの人脈を活用し、地域のさまざまな課題をアンケートやヒアリングを通じ顕在化していく。また多数の企業の窓口となる渉外機能を有した機能を通じ企業目線に合わせ翻訳化することで双方向の視点からの意見交換を容易にする。そして、医療・介護業界の抱える課題を民間企業とも共有し現状で打破できない課題に対しブレイクスルーできる場を作り出していく。

Ⅳ.まとめ

今後、国の施策もあり、かかりつけ医は、医療界において必ずやクローズアップされると思われ、我々も国や日本医師会からの情報に注目し今後の動向を見つめていく必要がある。会員の皆様には、医師会からもその都度情報を発信させていただくつもりである。

また、N[EXT]Aに関しては、何か調査してもらいたいことがあれば、遠慮なく医師会にご連絡いただきたい。

今回は、前述のごとく、医師会のシンクタンク機構であるN[EXT]Aの開設を皆様に知っていただき、かかりつけ医に関しての関心を高めていただければありがたく思う。シンポジウムの1時間が、皆様の医師としての活動にとって少しでもお役に立てることを願い閉会とした。

なお、発表に使用したスライドなどの資料を新潟市医師会のホームページの広報ウェブ会員専用HPに詳しく掲載してあるので、是非そちらを参照されたい。

https://www.niigata-er.org/press/member/news/news.php?no=231&t=20221212024015

閲覧には会員専用のIDとパスワードが必要です。ご不明の場合は医師会事務局にお問い合わせください。

(令和5年1月号)

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